2023.09.12

インクルージョンとは

インクルージョン(inclusion)には包括するといった意味があり、全体をまとめることです。ビジネスでのインクルージョンは、すべての従業員が仕事に参加する機会を持ち一人ひとりの経験や考え方、能力が活かされていることを指します。

インクルージョンを推進することにより、生産性の向上やイノベーションの創出を期待することが可能です。従業員一人ひとりの能力を最大限に発揮するほか、さまざまなバックグラウンドを持った従業員が集まることによりさまざまなアイデアが生まれやすくなります。

インクルージョンとは

インクルージョン(inclusion)には、包括するといった意味があります。ビジネスではすべての従業員が仕事に参画する機会がある状態のことです。従業員一人ひとり異なった経験や考え方、能力などがあり、それらを活かすことによって生産性の向上やイノベーションの創出につながることが期待できます。

ビジネスにおけるインクルージョン

インクルージョンとは、すべての従業員がそれぞれの能力や経験などを活かせる業務に参加する機会があることです。すべての従業員が業務に参画できることが特徴です。対してダイバーシティ(diversity)とは多様性のことであり、人種や国籍、性別、学歴など多様な人材を活かすことです。

企業がインクリューションを導入することにより、生産性や企業イメージの向上、イノベーションの創出といったメリットがあります。従業員一人ひとりが持つ能力や経験を最大限活かすことにより生産性を高めることが可能です。

さらに、多様な人材を受け入れて活かすことによって企業イメージ向上にもつながります。このほか、多様な人材が集まることにより異なる経験やバックグラウンドを持つ従業員が集まり新しいアイデアが生まれイノベーションの創出も期待できます。

ダイバーシティとの違い

インクルージョンとは、企業の従業員全員が一人ひとりの能力や経験を活かせるようなことをいいます。対して、ダイバーシティは多様化を意味しており、国籍や学籍、性別などを問わず多様な人材を活かすことです。

インクルージョンがすべての従業員に対して平等な機会がある環境を指すのに対して、ダイバーシティ(diversity)とは多様性のことであり、人種や国籍、性別、学歴など多様な人材を活かすことです。2010年代になって、インクルージョンとダイバーシティを組み合わせた「インクルージョン&ダイバーシティ」を導入する企業が増えています。

インクルージョン導入による注意点

インクルージョン導入では次の点に注意が必要です。

  1. 環境整備
  2. 従業員の意識改革
  3. 進捗状況の把握

インクルージョンを新しく実現するためには、新たな制度やルールの設定が必要になる場合があります。例えば、女性の活躍を促進するために育児休暇や介護休暇を取得しやすい制度や障がい者を雇用するためのルールの設定などが必要です。制定してから浸透するまでのプロセスや手間について見込んでおくことが重要です。

インクルージョンを浸透させるためには、従業員の意識改革が必要です。新しい属性を入れることは従業員にとって抵抗のある場合が少なくありません。多様性を活かすためには、従業員が多様性のある従業員を受け入れることが重要です。

インクルージョンを数値化しにくいことから、進捗状況の把握がむずかしい点が特徴です。そのため、定期的に従業員満足度を把握したり個別面談をとったりするなど、進捗状況を把握するための工夫が求められます。

インクルージョン&ダイバーシティとは

インクルージョンとは、従業員全員が仕事に参画できることにより一人ひとりが持つ能力や考え方、経験などが活かされている状態です。ダイバーシティは、国籍や学歴、性別などにとらわれず多様な人材を活かすことです。

この2つの用語を合わせた、インクルージョン&ダイバーシティとは、ダイバーシティにインクルージョンの内容を加えた考え方です。

ダイバーシティ経営

経済産業省では、多様な人材を最大限発揮することで価値創造につなげるダイバーシティ経営を推進しています。多様な人材には、人種や国籍、性別、価値観のほかに経験や働き方などの多様性が含まれています。また、個々の人材が働きやすい環境を作ることによって、発想力を高め生産性の向上につながるような経営がダイバーシティ経営の特徴です。

経済産業省では、ダイバーシティ経営を「多様な人材を活かし、その能力が最大限発揮できる機会を提供することで、イノベーションを生み出し、価値創造につなげている経営」と定義しています。
引用:ダイバーシティ経営の推進(経済産業省)

ダイバーシティ経営は、個々の能力が最大限発揮できる環境においてイノベーションを生み出すとしていることから、ダイバーシティ&インクルージョンと意味合いが似ています。

ダイバーシティ&インクルージョンの需要が高まる理由

ダイバーシティ&インクルージョンの需要が高まる理由として次のような点が挙げられます。

  1. グローバル化する社会
  2. 少子高齢化

グローバル化が進むことでさまざまな国や地域が販売や営業の対象となるほか、国籍やキャリアなどを問わず従業員を雇用する機会が増加中です。また、少子高齢化が進むことにより人材不足が大きな問題となっているため、従業員1人ひとりの能力を活かせるような環境作りが必要です。

インクルージョン&ダイバーシティの導入事例

富士通グループ

富士通は「公正と平等を重んじ、ダイバーシティ&インクルージョンを推進します」といった考えのもと、ダイバーシティのほかエクイティ&インクルージョンを進めています。誰もが違いを認めることで活躍できるような企業文化を醸成することが目標です。2022年にはGlobal DE&I(ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン)Vision & Inclusion Wheelを刷新することで、従業員の多様性を尊重し自分らしく活躍できるインクルーシブな企業文化に向けて取り組みを進めています。

DE&Iに対するより包括的なアプローチをすることにより、持続可能な社会を実現することが目的です。

参考:ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(富士通)

積水ハウス

積水ハウスは、「『わが家』を世界一 幸せな場所にする」をグローバルビジョンにしており、ESG経営のリーディングカンパニーを目指しています。ESG経営推進本部を設置することで、重要課題として次の3つを掲げています。

  1. 良質な住宅ストックの形成
  2. 持続可能な社会の実現
  3. ダイバーシティ&インクルージョン

ダイバーシティ&インクルージョンでは、次の3つが柱です。

  1. 女性活躍の推進
  2. 多様な人材の活躍
  3. 多様な働き方の推進

女性や外国人、高齢者、障がい者などさまざまな個性を持った従業員が互いの個性を認め合うことで一人ひとりのチカラを最大限に活かす環境つくりをすることが目的です。

参考:積水ハウスグループダイバーシティの推進(積水ハウスグループ)

日立製作所

日立製作所はダイバーシティ&インクルージョンの推進を経営戦略の一環としており、性別や人種、バックグラウンド、性別などの違いを個性と捉え、個人と組織の持続的成長につなげています。例えば、2020年10月に女性管理職数が2012年度と比較して2倍となる800人を達成しました。日立グループ全体的に見ると、2022年度には全体の9.5%にあたる4,641人となっています。


画像出典:ダイバーシティ&インクルージョン戦略(日立製作所)

まとめ

ビジネスでのインクルージョンとは、すべての従業員が一人ひとりの考え方や経験、能力などを活かすことによって仕事に参加できる機会を設けることです。国籍や学歴、性別などにとらわれず多様な人材を活かすダイバーシティと組み合わせるインクルージョン&ダイバーシティの需要が高まっています。

ダイバーシティ&インクルージョンの需要が高まる理由として、グローバル化する社会や少子高齢化などが要因です。2010年代以降、ダイバーシティ&インクルージョンを導入する企業が増えており、今後さらに需要が高まることが見込まれます。

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