2023.09.05

サステナビリティとは

サステナビリティとは、持続可能性を意味した言葉であり、経済や環境、社会などさまざまな場面で長期間にわたり続けられる取り組みのことです。企業には目先の利益だけを求めるのではなく、社会や環境面での長期的な影響を常に考えて行動することが求められます。

例えば、目先の利益を求めて森林を伐採するのではなく、環境が再生できるようなシステムを使って事業を進めることがサステナビリティの考え方です。さまざまな企業が継続した経営と並行して、社会や環境面においてプラスになるような取り組みをしています。

サステナビリティとは

サステナビリティ(sustainability)とは、環境や経済、社会など様々な場面で機能を失うことなく継続することです。つまり、企業は目先の利益や結果ではなく長期的に物事の影響を考えて行動する必要があります。

SDGsやCSRとの違い

SDGsとは、2015年に国連サミットで採択された国際目標であり、持続可能な開発のために169のターゲットと17の目標が設定されています。CSRとは従業員や取引先をはじめとしたすべてのステークホルダーに対して責任を果たすことです。企業は利益を追求するだけでなく社会的責任を追求することが必要です。

このように、SDGsやCSRには具体的な目標が設定されていますが、サステナビリティは持続可能性を意味しています。SDGsやCSRの達成における活動の1つがサステナビリティです。

GRIスタンダードとは

GRIスタンダード(Global Reporting Initiative、GRI)とは、ESG(Environment Social Governance)情報の開示枠組みの1つでありサステナビリティがカバーするべき範囲を表した国際的なスタンダードです。明確なガイドラインとなっており、環境や社会、経済といった分野から33個選ばれています。

社会の分野には、顧客プライバシーや多様性、労使関係などを含んだ19項目、経済の分野は反競争的行為をはじめとした6項目、環境の分野には大気への排出をはじめとした8項目が含まれています。

サステナビリティの3つの柱

サステナビリティには次の柱があります。

  1. 環境保護
  2. 経済発展
  3. 社会開発

環境保護

環境保護の面では生態系の健全性を維持することが必要です。さらに、地球環境のバランスを保つために資源を枯渇させないことやスムーズな物質循環ができる環境を保つことが重要です。

日本をはじめとして、多くの国が2050年のカーボンニュートラル実現を目標としてCO2排出削減に取り組んでいます。このほかにも海洋汚染や森林伐採など、企業が環境面において取り組むべきことが挙げられます。

経済発展

経済発展の面では継続して利益を出し続けることだけでなく社会や環境に配慮した行動が必要です。経済発展の具体的な取り組みには、地域経済の振興や雇用創出などが挙げられます。

経済は企業以外に政府や個人から成り立っているため、企業だけでなく政府も対応が必要です。2018年以降世界的情勢の影響を受け輸出が低下していたり、企業の人手不足が大きくなったりするなど経済面においてさまざまな課題を抱えています。限られた人材を活用して生産性を大幅に向上させることをはじめ、経済を発展させるためにさまざまな対策が必要です。

参考:第1章 日本経済の現状と課題(内閣府)

社会開発

社会開発の面ではすべての人が普遍的な人権や基本的な生活をすることができ、地域社会や家族が十分な資源を利用できるような環境が求められます。

例えば、教育業界では子供たちの将来を考えることが必要です。また、服飾業界であれば労働環境や健康などに配慮したファッションを制作することは、雇用を安定させ、社会開発につながる動きとして評価されます。

コーポレートサステナビリティを推進するメリット

コーポレートサステイナビリティとは、企業が社会や経済、環境などへの影響を常に意識しながら持続的な経営を進める取り組みです。コーポレートサステナビリティを推進すると次のようなメリットが挙げられます。

  1. 有利な資金調達ができる
  2. 事業運営を効率化できる
  3. 社会的な評価が高まる

有利な資金調達ができる

コーポレートサステナビリティを進めることにより、ESG投資の対象となります。ESG投資とは、企業が環境や社会、ガバナンスへの取り組み具合を重要視する投資です。そのため、コーポレートサステナビリティに取り組んでいる企業は金融機関や投資家からの支持を受けやすくなる特徴があります。

事業運営を効率化できる

社内でエネルギーや資源を大切にする従業員が増えることで、コスト削減につながる可能性があります。さらに、労働環境がよくなることで従業員のモチベーションが上がり、離職の防止や生産性の向上につながります。

社会的な評価が高まる

環境や社会に配慮して企業活動をすることで、取引先や顧客から信頼度が高まり企業評価の向上につながります。さらに、求職者の評価が上がることから優秀な人材を確保することが可能です。

サステナビリティの事例

ユニリーバ

ユニリーバではユニリーバ・コンパスとよばれる成長戦略を設定し、継続性で責任や利益のある成長を目標としています。自然の保護や再生、気候変動への対応をはじめとした地球に対するサステナビリティに取り組んでいます。

ユニリーバでは、100%再生可能なエネルギーへの切り替えや67%原材料となる農産物を持続可能に調達するなど、190ヵ国で400以上のブランドを展開する規模を活かして社会に貢献しています。

私たちのビジネスは地球と社会が健全でなければ成功できません。
そこで気候変動やプラスチックごみ、不平等など、消費者やステークホルダーの皆さまが深く関心を寄せる環境や社会の課題に取り組むため、サステナビリティの目標とプランを策定しました。
引用:地球と社会(ユニリーバ)

日産

日産では「人々の生活を豊かに。イノベーションをドライブし続ける。」といったコーポレートパーパスを実現するために、すべてのステークホルダーに対して優れた価値を提供しています。

さらに、日産ではゼロ・エミッションやゼロ・フェイタリティといった社会を目指しています。なかでもカーボンニュートラルの達成を目指しており、2021年に新車からの二酸化炭素排出量を42.5%の削減を達成しています。

現在のサステナビリティ戦略 Nissan Sustainability 2022の重要テーマは、「ゼロ・エミッション」「ゼロ・フェイタリティ」社会の実現です。特に環境領域では、2050年までに事業活動を含むクルマのライフサイクル全体におけるカーボンニュートラルを実現することを目指し、グローバルで活動を推進しています。
引用:サステナビリティ(日産)

ファーストリテイリング

ファーストリテイリングでは、「服のチカラを、社会のチカラに。」をサステナビリティステートメントに掲げています。よい服を提供することによって、世界をよい方向へ変えていくことを目的にしています。上質で長く利用できる性質があり、地球に余計な負担をかけない服作りに取り組んでいます。

サプライチェーンや店舗における温室効果ガス排出量削減の取り組みをしたり、素材工場において水使用料の15%、エネルギー使用料の10%を削減を目標としたりするなど、地球環境の負荷低減が大きな目標です。

参考:持続可能な社会をめざす(ファーストリテイリング)
参考:サステナビリティステートメント(ファーストリテイリング)

まとめ

サステナビリティとは、継続した経営をするだけでなく経済や社会、環境などに対してさまざまな取り組みをすることです。そのため、企業は目先の利益にとらわれず、経営や環境、社会への影響に対して長期的に取り組むことが必要です。

さまざまな企業がサステナビリティへの取り組みをしています。サステナビリティへの取り組みはステークホルダーや社会における企業に対する評価基準の1つとなっており、企業経営の重要な要素となります。

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