2022.06.29

リーンスタートアップの事例

リーンスタートアップとは費用をかけずに作製した試作品を顧客に提供し、反応を分析することで商品の改善につなげ、良質な商品開発を目指すマネジメント手法のことです。時間と費用を削減できる、優位に市場の開発ができるなどのメリットがあるため、世界中の企業がリーンスタートアップを取り入れています。

業界によって向き不向きがある、成功するとは限らないといったリスクには注意しなければなりませんが、未知の市場を開拓するためには有効的な経営手法です。リーンスタートアップを活用した成功事例は多々あるので、参考にすることで大きな成果につながるはずです。

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リーンスタートアップとは

リーンスタートアップとは本格的な商品開発をおこなう前に、低コストで作製した試作品で顧客の反応をうかがい、改善点を見直すことでより良いプロダクトを開発するマネジメント手法のことです。2008年にはじめてアメリカの起業家が提唱したことにより、認知と活用が進みました。

リーンスタートアップでは顧客の反応確認と欠陥の改善を繰り返しおこなうため、当初つくり上げた試作品よりも良質な商品を開発することが可能です。顧客のニーズを低コストで把握することができるので、新規事業の開発に役立ちます。

リーンスタートアップを活用するメリット

リーンスタートアップは事業開発に役立つだけではなく、さまざまな面でメリットがあります。企業内での取り組みを進めるためにも、活用することでどんな利点があるのか把握するべきです。

リーンスタートアップを活用するメリットは次のとおりです。

  • 時間やコストを削減できる
  • 優位に市場を開拓できる

完璧な状態の商品を開発してから検証と改善をおこなうには、多くの時間とコストを消費するはずです。リーンスタートアップでは最低限の質を備えた試作品を開発するため、完全に商品を仕上げる場合と比べて、時間や費用を削減することができます。

また、未知の市場開拓には試作品での検証が役立ちます。開発した商品が顧客から求められているといち早く明らかになれば、他社よりも優位に事業を展開することが可能です。

リーンスタートアップにおけるリスク

企業の成長を促進する経営手法ですが、取り組む際はリスクに気を付けなければなりません。事業開発を失敗させないためにもリスクについて把握する必要があります。

リーンスタートアップにおけるリスクは次のとおりです。

  • 適さない業界がある
  • 成功するとは限らない

業界によってはリーンスタートアップが適しておらず、時間と費用の無駄になるケースがあります。ニーズの移り変わりが激しい業界では、検証と改善のサイクルがニーズの変化に間に合わず、顧客が求める商品をタイミング良く提供することはできません。

さらに、業界の向き不向きだけに限らず顧客が求める商品を開発することはむずかしいので、リーンスタートアップの取り組みが必ず成功するとは限りません。

リーンスタートアップをおこなうプロセス

リーンスタートアップは次のプロセスでおこないます。

  • 商品設計
  • 反応の計測
  • 改善
  • 商品の再設計

商品設計

まずは商品の設計です。必要最低限の機能を備えた試作品を短時間かつ低コストで作製するために、情報収集やコンセプトの決定をおこないます。

商品設計はある程度消費者のニーズを確認してから進めたほうが良いです。徐々に改善するから最初はどんな試作品をつくっても良い訳ではなく、顧客にはどんなニーズがあるのか仮説を立て、検証することが重要です。

反応の計測

作製した試作品を顧客へ提供し、反応を計測します。リーンスタートアップの目的はあくまでサービス開発であり、顧客がどんなモノを求めているのか把握することです。ニーズを把握するためには、商品を体験した顧客の反応を確認する必要があります。

改善

顧客の反応から集めたデータを分析し、改善をおこないます。今後どのような商品が求められるのか、今ある商品をどのように改良すれば良くなるのかを考え、長所は引き伸ばしつつ悪い点を改善します。商品設計の段階で立てた仮説の問題点が確認できるので、見直しながら再設計に向けて準備を進めるべきです。

商品の再設計

はじめの商品設計で立てた仮説と反応の分析結果、改善をもとに商品の再設計を進めます。設計から改善までが1つのサイクルであり、これを繰り返すことにより、これまでにない良質な商品を開発することが可能になるはずです。

リーンスタートアップの事例

リーンスタートアップを利用することで売上を上げた企業やサービスは多々存在します。一度成功をおさめた事例はリーンスタートアップを取り入れる際の参考になるので把握が必須です。

ヤフー

ヤフーはECサイトをはじめ、さまざまな事業を展開する企業です。販売製品やアプリ開発などにリーンスタートアップを活用しています。アプリ開発においては、ユーザーから意見を受けたあと、アプリの改善をおこなうといった検証と改善のサイクルを繰り返しました。その結果、利用者が満足して利用できるアプリをつくり上げることに成功します。

Techpit

Techpitは実践型でプログラミングを学習できるサービスです。顧客のニーズを把握するためTwitter上で求めるサービスについて疑問を投げかけたところ、多くの反響があり、ユーザーのニーズを把握することになります。

SNSでは顧客の感想をいち早く受け取ることができるうえ、どんなターゲット設定をおこなうべきか明確であったため、Techpitは素早いペースで事業の拡大に成功しました。

Instagram

Instagramは素敵な画像や動画を共有できるアプリです。Instagramという名前になる前はBurbnといった名称であり、位置情報アプリとして利用されていました。しかし、検証と改善を繰り返すうちに写真の共有がユーザーから人気であることが明らかになったため、方向転換したところ人気が上昇しました。

リーンスタートアップが時代遅れとされる理由

リーンスタートアップが時代遅れとされる原因は、インターネットやSNSの普及と技術レベルの発展です。

現代では、インターネットとSNSによって企業の評判が拡散されるようになりました。不出来の商品を顧客に提供してしまい、悪評が広がることで企業の信用度は下がることになります。一度植え付けてしまった評判を覆すためには時間と労力が必要であるうえ、大変な作業です。

また、技術レベルが発展したことにより、顧客は質の高い商品やサービスを購入することがあたり前になっています。そのため、試作品段階のモノを体験させることに抵抗を持つ企業は多く、リーンスタートアップは現代で活用しづらい時代遅れの経営手法との声が上がっています。

リーンスタートアップは業界によって活用のしやすさが異なるため、時代遅れというわけではなく、経営手法の1つとして検討するべきです。

まとめ

リーンスタートアップとは未知の市場開拓に役立つ経営手法を意味します。作製した試作品を市場に提供することで、顧客から意見や感想を受け取ったあと、集めたデータの分析と改善をおこない、より良い商品やサービスの開発を目指します。

時代遅れとの声が上がっていますが、業界によってはリーンスタートアップを活用するべき市場も存在します。活用が適する業界を見極めつつ、ヤフーやInstagramなどの事例を参考にリーンスタートアップに取り組むべきです。

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