2022.01.26

製造業のデジタルトランスフォーメーションとは

デジタルトランスフォーメーション(DX)とは、デジタル技術を活用した変革を意味する概念です。ビジネスのフィールドにおいては、デジタルを駆使して組織や業務を変革し、経営者の考える企業の未来を実現することを意味します。特に製造業は働き手が減っている業界であり、生産性や品質の向上が期待できるDXは急務です。

DXをおこなうには、手順やコツを正しく理解する必要があります。この記事では、製造業におけるDXの手順やコツについて解説します。

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DXの役割や目的

DXの役割は、デジタルを駆使した変革を通して、労働の現場で起こり得る課題を解決することです。具体的には、IoTやAIを利用して自動化できる部分を自動化し、アナログな労働力を減少させます。

ただし、DXの目的は自動化そのものではありません。あくまで目的は業務に変革をもたらすことであり、IoTやAIによる自動化は手段のひとつです。

製造業におけるDX

製造業のDXでは、人の手で感覚的におこなわれている作業を可視化し、効率的な導線や作業方法を模索することが大切です。こうして最適化したものをシステムとして自動化すれば、人の力が不要となり、生産性が向上します。

人の力が不要になることで、製造業で問題となっている人材不足が解決します。厚生労働省が発表している令和3年9月の有効求人倍率は1.16倍。その中でも製造業(生産工程の職業)は1.69倍で、人材が不足していることが分かります。自動化によって不足している労働力を補えれば、企画や戦略など人の力が必要な仕事にマンパワーを使えます。

また、自動化によって品質やコストも一定に保てます。これまでの製造業は、職人の長年の勘や培った技術がもとになっていました。しかし技術や勘を的確に伝えて再現するのは難しく、品質にも差が出る上に時間やお金などのコストもかかります。DXによって最適化ができれば品質の差はなくなり、コストも削減できます。

そして、DXでデータを活用すれば、販売後のフォローも可能になります。例えば、販売する商品に稼働時間や使用回数などのデータを蓄積し、自社とお客様で共有できれば、最適な時期にメンテナンスの訪問ができます。加えて、故障の状況や異常がある箇所もデータで把握していれば、必要な部品の事前準備が可能です。

関連:リブ・コンサルティングの製造業コンサルティング

製造業におけるDXの手順

1.DXによるビジョンの策定

まずはDXによるビジョン、すなわちDXによって目指す企業の姿を明確にしてください。DXのビジョンを策定する目的は、具体的な企画や戦略を作成するためです。DXのための企画や戦略は、経営者の考える企業の姿に近付くために作成されます。実現すべき姿が明確でなければ、正確な企画や戦略は立てられません。

また、ビジョンの策定は、社員へ「企業の未来」を共有することにもなります。DXを推進すると、現場には大きな変化がもたらされます。変化に納得してもらうためには、ビジョンの策定によってDXをおこなう理由を社員に知らせることが大切です。

2.DXを進めるための体制作り

ビジョンが定まりましたら、DXを進めるための体制を整えます。必要な部署からDXに詳しい人材を集め、推進チームを作ってください。社内にDXに詳しい人材がいない場合には、DXに詳しいコンサルティング会社にアドバイスを求める方法もあります。

DXの推進チームは少数精鋭が向いています。人数が多すぎるとコミュニケーションの手間が増えるためです。適した人数は企業によって違うため、自社の規模やビジョン、スケジュールなどを考えて人材を集めてください。

関連記事:デジタルトランスフォーメーション人材とは

3.システムの分析と評価

DX推進チームを結成しましたら、DX化を進めるための下準備として、利用中のシステムを分析、評価します。分析、評価によって人の手でおこなっている作業を可視化し、自動化すべき作業を判断します。同時に無駄な作業や品質低下の原因も調べます。

4.要件定義

分析と評価が済みましたら、現状とビジョンを照らし合わせ、最適化するべき箇所を検討します。これを要件定義といいます。

要件定義においては、必ず社内の人間が関わり、最終判断を自社でおこなうようにしてください。社内の人間が分析や評価をおこなわないと、自社内の課題を把握できず、DXによる成果やビジョンの達成率が不明瞭になるためです。

5.導入

DXのためのシステムを現場に導入し、効果を検証します。コストの減少率や現場での使い心地などを確認してください。

すべてのシステムで一気におこなうことは難しいため、まずは簡単な自動化をおこなって様子を見るべきです。ひとつの工程や装置で成功したら、次は工場全体、次は企業全体と、徐々にDXの範囲を広げていきます。

範囲が広がれば、DXの実現は成功です。DXをおこなうには、作業の自動化だけではなく、組織や企業そのものを見直す必要があります。最終的には企業内だけではなく、お客様の手に渡ったあとのアフターサービスも考えたDXが必要です。

製造業におけるDX成功の2つのコツ

目的を明確にする

DXを成功させるためには、目的が非常に大切です。なぜなら目的が明確になれば、DXで達成するべきゴールが分かるためです。

しばしば見られるのは、目的を定めずにセンサーを設置して、漠然とデータを集めている企業です。データの収集はあくまで可視化、最適化のための手段に過ぎません。集めたデータの活用方法を考え、実行に移すことがDXの本分です。

最初に定めたDXの目的は常に念頭に置き、実行の節目でも一旦冷静になって思い出すことが大切です。

スモールスタートで始める

製造業でDXを進めるにはスモールスタートが望ましいです。なぜなら、スモールスタートによって社員を戸惑わせずにDXの効果を示せるためです。

DXは現場が受け入れて初めて成功といえます。現場に納得してもらうにはDXが現場に良いものだと示すことが必要です。急な変化は現場の社員を戸惑わせ、企業に対する不満のもととなります。社員を戸惑わせないためには、まず一部で導入し、社員にも分かるようにDXの効果を示すことです。

自分たちのメリットになることが社員に伝われば、他の工程や部署でもDXに納得してもらえる可能性が高まります。

まとめ

働き手が不足している製造業は、特にDXの導入による課題解決が期待されています。生産性や品質の向上、アフターフォローの充実など、DXによって発生する企業のメリットは大きいです。コツを意識し、専門家と相談しながらDXを進めてください。

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