2022.07.23

生産性向上と助成金

生産性向上とは少ない資源で、大きな成果が出せるよう業務を改善することを意味します。しかし、生産性向上の実現には膨大なコストがかかるケースもあるため、資本力の少ない企業には助成金の利用がおすすめです。

助成金は返済が不要である、社会的な信用を獲得できるなどのメリットがあり、生産性向上の施策に向けた支援を期待できます。助成金にはいくつか種類があるので、自社に適した内容を選ぶ必要があります。

生産性向上とは

生産量向上とは少ない資源で大きな成果が出せるよう業務内容を改善することです。労働環境の改善を目的として認知が広がり、多くの企業で生産量向上に向けた取り組みがおこなわれています。

重要視されるようになった背景には、企業の人材不足と競争の激化が挙げられます。日本の労働人口は減少傾向にあり、従業員1人あたりの生産量を向上しなければ、企業の利益は拡大しません。

また、グローバル化が進んだことにより、競争相手が日本だけでなく、海外の企業も含まれるようになりました。存続するためには生産性を向上させ、競争力を身に付ける必要があります。

生産向上の助成金

助成金とは雇用や労働環境に関する制度であり、国が取り組みをおこなっています。企業が事業を進めるなかで、資金のやり繰りに頭を抱える場面は多々あるはずです。

そのため、コストがかかる施策に取り組む企業に対して、経費のサポートをおこないます。助成金の対象は生産性向上に向けた施策にも該当し、資本力の少ない企業でも労働環境を改善し、生産性向上を目指せます。

助成金と補助金の違い

助成金と補助金は、施策の実現に向けた支援金であり、2つの違いを明確に応えることのできる方は多くありません。両者の相違点は、担当する組織と審査の有無です。

助成金は厚生労働省が担当する一方で、補助金は経済産業省が担当します。また、助成金は要件を満たしていれば受給できますが、補助金には審査があり、受給できる企業の数や額に制限があります。

助成金を受け取るメリット

助成金を受け取るメリットは次のとおりです。

  • 返済が不要である
  • 従業員のエンゲージメントを向上できる
  • 社会的な信用を獲得できる

返済が不要である

融資とは異なり、助成金は返済が不要です。要件をクリアすれば収益の一部として受け取ることができるため、事業拡大に向けた施策へ資金を投資でき、資本が少ない企業でも生産性向上を目指せます。

従業員のエンゲージメントを向上できる

助成金によって企業の体制を整えることで、労働環境を整備できます。働きやすい環境づくりは従業員のモチベーションやエンゲージメントの向上につながり、1人ひとりの生産性が高まるはずです。

社会的な信用を獲得できる

厚生労働省の設定した基準をクリアした場合のみ、企業は助成金を受け取ることができます。国が正当と評価した企業として認知されるため、社会的な信用を獲得できるはずです。

助成金の受け取りにおけるリスク

助成金の受け取りにおけるリスクは次のとおりです。

  • 会社への負担が増加する
  • 徹底したスケジュール管理が必要である
  • 要件が複雑である

会社への負担が増加する

助成金を受け取る条件をクリアするために、さまざまな取り組みが必要です。必要な書類を準備したり、助成金の方針に沿った施策を立案したりなど従業員に負担がかかります。

申請が通過しなければ手間や負担を無駄にすることにつながるため、慎重な作業が求められます。また、申請通過後に施策を変えると、助成金を受け取れない可能性があるため、計画を途中で変更することはできません。どうしても変更したい場合にはさらなる負担がかかるため、計画は入念に立案するべきです。

徹底したスケジュール管理が必要である

助成金を受け取るためには申請が必要ですが、期間が定められています。期間内に申請しないと助成金の対象者から外れることとなり、支援金を受け取ることはできません。期間を過ぎてしまわないようにスケジュール管理には注意するべきです。

また、不正受給を防ぐため、要件が厳しくなっています。申請が通り、助成金を受け取るまでの期間が長くなるケースもあるので、スケジュール調整には注意が必要です。

要件が複雑である

助成金の種類は数多くありますが、政府によって内容が頻繁に変化するため、支援対象者に該当する要件は複雑です。正当な手続きをうけるためには、定期的に最新情報をチェックする必要があります。必要な書類も政府の政策に合わせて変化するため注目するべきです。

助成金の種類

助成金の種類における一例は、次のとおりです。

  • キャリアアップ助成金
  • 業務改善助成金
  • 働き方改革推進支援助成金

キャリアアップ助成金

キャリアアップ助成金とは、有期雇用労働者や短時間労働者など、非正規雇用の労働者をサポートする制度です。対象者は非正規労働者の正社員化をはじめとする、従業員のキャリアアップを目指す企業であり、役職転換や生産性向上に向けた施策の内容によって助成額は大きく変化します。

キャリアアップ助成金はコースが分かれており、中小企業とそれ以外の場合で助成額は異なります。従業員のスキルアップや適切な人材配置を実現することで、生産性向上を目指せるはずです。

業務改善助成金

業務改善助成金とは、設備の導入や従業員の給与の引き上げを目的に、業務を改善する規模の小さい企業に対して資金面でサポートする制度です。対象者には生産性向上に向けた設備投資をおこない、従業員への給与を引き上げたい企業が該当します。給付を受けるためには、業務改善に向けた施策への費用の支払いや、引き上げたあとの従業員への賃金支払いをおこなう必要があります。

働き方改革推進支援助成金

働き方改革推進支援助成金とは、スケールの小さい企業に対し、助成金を給付する制度です。労働環境の改善に向け、政府によって公表された働き方改革は、業務の効率化や人材育成に取り組む企業を推奨しています。

対象者には生産性向上に向けた施策へ取り組むうえで、資金が十分でない企業が該当します。給付を受けるためには、生産性向上に向けた施策をおこなう必要があり、労働時間の短縮や環境体制の整備などの具体例が挙げられます。

助成金における注意点

助成金における注意点は次のとおりです。

  • 補助金と比べると支給額は低い
  • 支給までに時間がかかる場合がある

補助金と比べると支給額は低い

補助金と比べて助成金は申請の採用率が高く、支援金を受け取りやすい傾向があります。しかし、受け取ることのできる金額が低く設定されており、大きな投資には期待できません。

あくまで資金のサポートですので、経費の一部として使用するのがベストです。より高額な資金を必要とする企業は、補助金の利用をおすすめします。

支給までに時間がかかる場合がある

助成金は後払いであるため、受給までに時間がかかります。施策に取り組みをはじめる企業は、事前に支払えるだけの資金の確保が必要であり、助成金の利用を重視して施策を進めると危険です。また、報告期間や提出書類におけるミスには十分に注意してください。

まとめ

生産性向上とは少ない資源を有効活用し、より多くの生産量を生み出せるよう業務を改善することです。労働人口の減少や競争の激化の背景から、働き方改革に向けた施策の1つとして認知が広がり、多くの企業が取り組みを進めています。

しかし、生産性向上を実現するには膨大なコストが必要であるケースがあります。自社の経費では負担がかかる企業には、助成金の利用がおすすめです。助成金は返済が一切不要であるため、生産性向上に向けた施策にチャレンジできます。

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