2022.06.29

クリティカルシンキングとは

クリティカルシンキングとは物事に対して何度も検討を重ね、情報を鵜呑みにせず判断していく考え方のことです。

クリティカルに考えることで物事の本質をとらえることができるため、特に高度成長期が終わった日本企業には必要な考え方となっています。ものがあふれて時代の流れも早くなっている2000年代、企業もクリティカルに物事を判断して時代の波に乗っていく必要があります。

クリティカルシンキングは訓練をすることで鍛えることができます。日頃から前提や自分の考えを疑い続けることで、地道に思考法は成熟していきます。また、ビジネスにクリティカルシンキングを用いることであらかじめリスクを排除しやすく、問題点や矛盾点を解決でき作業効率を上げることもできます。

クリティカルシンキングとは

クリティカルシンキングは批判的思考と訳され、意見に左右されず事実ベースで判断する考え方です。クリティカルを批判的と翻訳しているため、ネガティブなイメージをもつ方もいるかもしれませんが、決して粗探しをするための考え方ではありません。

クリティカルシンキングが必要になった理由

クリティカルに考えることが必要になった理由は、時代の流れが変化し、価値観が変わったことに関係しています。

高度成長期の日本の企業はものづくりを中心に発展をしました。当時の多くの日本企業が大切にしていた価値観はより良いものを作ることで、より良いものとは高性能と低価格の2つだと明確にされていました。これらを追求することで多くの日本企業は成功を収めたのです。

しかし、2000年代になるとものがあふれ、より良いものを作るという価値観だけでは企業的に成功を収めることはできなくなってきました。そして、時代の流れも急速に早くなったため、企業は時代の流れについていく必要が出てきました。したがって、より良いものをつくるだけでは通用しなくなったため、物事の本質を見極められるクリティカルシンキングが注目されるようになったのです。

クリティカルシンキングのメリット

クリティカルシンキングのメリットは以下の5つです。

  • リスクを回避できる
  • コミュニケーションが円滑に進む
  • データに基づいた判断が取れる
  • 問題点や矛盾点が見つかる
  • 新たなアイデアを見つけられる

リスクを回避できる

クリティカルに考えることによってリスクを未然に防げる可能性が高まります。また、意識的に物事を多角的に考え、リスクやデメリットを想像することができるためです。

企業活動にとってリスクはつきものです。良い面だけでなくリスクなどのマイナスの部分も考えられることで、企業を長期的に安定させられる可能性が高まります。

コミュニケーションが円滑に取れる

クリティカルシンキングを意識することで、スムーズにコミュニケーションを取ることができます。自分の意見に偏って考えることがないため、事実ベースで話し合いを進めることができるためです。

コミュニケーションが円滑に取れると問題解決までのスピードが上がるため、問題が大きくなることを防げ、仕事の効率アップにつながります。

データに基づいた判断が取れる

クリティカルに考えられるようになるとデータを効果的に利用し、的確な判断ができるようになります。特に経営層は見積もりや経費、売上などの数値データをもとに改善や向上をしていかなければなりません。

数値データをうまく利用して効率化を図り、企業の利益を上げられる可能性が高まります。

問題点や矛盾点が見つかる

クリティカルに考えることで問題点や矛盾点を見つけやすくなります。前提条件や固定概念を常に疑い続けながら考えるため、物事のメリットばかりでなくデメリットにも気づきやすいのです。ビジネスをおこなううえでリスクや問題点に目を向けることは重要です。

新たなアイデアを見つけられる

クリティカルシンキングを用いることで、新たなアイデアの種を発見する可能性があります。固定概念や常識を疑うことで、新たな革新的なアイデアを生み出せる機会が増えます。さらに、データを用い、論理的に理論を組み立てることで新規事業を起こすチャンスも得られるかもしれません。

クリティカルシンキングの鍛え方

クリティカルシンキングの鍛え方は以下の5つです。

  • 正しい情報を集める習慣をつける
  • 前提を疑う
  • 自分の考えに偏りがあることを意識する
  • 事実を基に発言する習慣をつける
  • 事実と意見を区別する

正しい情報を集める習慣をつける

批判的に考えるうえで、信ぴょう性の高いデータを収集することは必要不可欠です。しかし、信ぴょう性が高いからといって100%信じることはクリティカルに考えられているとはいえません。たとえ新聞やテレビなどマスメディアからの情報であっても完全に信じてはいけません。

常にニュートラルなポジションで物事を判断していく必要があります。

前提を疑う

多くの方が当たり前だと思っている前提や固定概念を疑うことでクリティカルに物事を考えられる力を養えます。前提を疑うのにもっとも取り組みやすい方法は、前提のなかの多いと少ない、多忙と閑暇などの抽象的になっている言葉や方向性や強化などの人によって捉え方が異なる言葉を見つけて、根拠がある具体的な言葉に変換していくことです。

根拠のある具体的な言葉を探せるようになると、自分が発言する際に根拠のある説明ができるようになり、説得力も増します。

自分の考えに偏りがあることを意識する

自分の出した結論を疑い続けることでクリティカルシンキングを鍛えることができます。自分の考えを疑いやすくするための思考法は第三者視点を意識することです。第三者視点を意識することで客観的に物事を見ることができるようになります。

大切なのは疑うことをやめないことです。例え、的外れなアイデアが浮かんでも、そのアイデアがゆくゆく役に立つ場合もあります。そして、まったく斬新なアイデアが浮かび、既に出していた結論と180度違う結論が生まれる可能性もあります。最後まで考え続けることを習慣化していく必要があります。

事実を基に発言する習慣をつける

発言をする際に数値データや根拠となる事実を取り入れながら話すことでクリティカルシンキングを鍛えることができます。事実がない場合、事実ではなく自分が抱いている意見になってしまうからです。

事実ベースに話すことで感情に左右されず、説得力のある会話をおこなうことができるため、建設的な意見交換をおこなうことができます。

事実と意見を区別する

事実と意見を区別しながら話を聞くと、クリティカルシンキングを習得することができます。事実と意見を区別する方法は物事に対しての捉え方が人によって変わるか否かです。物事に対しての捉え方が人それぞれになる場合は意見になります。

例えば、このリンゴの値段は高いというのは意見であり、高いと思う方も低いと思う方も、妥当だと思う方もいます。事実と意見を区別できるようになると、事実をもとにして話せるようになるため説得力も生まれてきます。

まとめ

クリティカルシンキングとは、物事を常に疑うことでより正しい論理を構築していく考え方です。ビジネスにおいて、クリティカルに物事を判断することでリスクを未然に回避できたり、問題点や矛盾点を解決しやすくなり、より良い企業経営をおこなえます。

日頃から前提や自分が出した結論を疑い続け、事実ベースで会話をするように意識をすることでクリティカルシンキングを鍛えることができます。

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