2022.06.28

働き方改革とは

働き方改革とは、すべての人材がそれぞれの理想とする働き方を実現するための改革のことです。昨今注目されている1億総活躍社会の実現に向けた改革ともいえます。

2019年に関連する法案が施行されたことで、規模にかかわらず多くの企業が働き方改革を取り入れています。また、新型コロナウイルスの影響でこれまでの働き方を保てなくなったことで、再度注目されているのも事実です。

働き方改革とは

働き方改革とは、働く人の多様性や自由を実現するために施行された改革のことです。1億総活躍社会を実現に近づける改革として、多くの企業から注目を集めています。

1億総活躍社会とは、50年後でも1億人の人口を保ち続け、仕事だけでなく地域や家庭でも活躍できる社会のことです。少子高齢化が進む日本において、すべての人々が自分らしくいられるように配慮された改革ともいえます。

働き方改革は、厚生労働省や首都官邸が施策について公表し続けていることもあり、重要性の高い改革といえます。既存の働き方に限界を感じている企業は、すぐにでも取り入れなければいけません。

参考:働き方改革の実現(首相官邸)働き方革命 一億総活躍社会の実現に向けて(厚生労働省)

働き方改革が注目された背景

働き方改革が注目される背景には、少子高齢化が原因で生産年齢人口が減少したことがあります。2065年には生産年齢人口が5,000万人を下回るといわれており、市場全体での生産性低下が懸念されています。生産年齢人口を加味した施策を打つ必要があるという背景から、働き方改革が注目されました。

また、働き方に対する人材のニーズが多様化したことも挙げられます。育児や介護との両立だけでなく、働く場所にこだわる人材も増えてきました。働き方の柔軟性を実現するために、多くの企業が働き方改革に注目しています。

コロナ禍による働き方改革の変化

働き方改革は、新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけに大きく変化したといえます。リモートワークを余儀なくされる場面が増加し、これまでの働き方を保てない企業も急増しました。

コロナ禍による働き方の変化にはデメリットがあるものの、メリットを感じる人材が多いのも事実です。通勤時間を削減できることによる生産性の向上や、自分の好きな場所で働けることが例に挙げられます。育児や介護の時間と仕事の両立がしやすくなったことも、コロナ禍による良い方向の変化です。

昨今のビジネスシーンでは、新しい生活様式を意識した働き方改革が求められています。既存事業との相性も踏まえ、柔軟な対応が必要です。

働き方改革のメリット

働き方改革にどのようなメリットがあるのか、従業員と企業両方の目線で把握しておくことが大切です。自社に適した働き方改革を実現するためにも、メリットの把握は必須事項といえます。

従業員目線でのメリット

  • 待遇の格差がなくなるため賃金への不満が減少
  • 時間外労働が減少することによる負担の減少
  • ライフステージに合わせたキャリア形成が実現可能

従来の働き方では実現できなかった、ワークライフバランスに着目した変化を実現できます。

企業目線でのメリット

  • 時間外労働規制による人件費の削減
  • 時間内での業務完遂が求められることによる生産性、効率向上
  • 従業員の離職防止
  • 働き方改革を取り入れているというアピールによる採用力の強化

従業員のワークライフバランス実現を後押しすることで、結果的にさまざまな観点で企業にもメリットがあります。

働き方改革のデメリット

働き方改革の実現を検討する際には、デメリットについても把握しておかなければなりません。デメリットを把握したうえで、自社にどのような働き方改革が必要かを判断してください。

従業員目線でのデメリット

  • 時間外労働が規制されるため、業務効率化が必要とされる
  • 残業代による給与アップが期待できなくなる
  • 働き方改革に対応できないことで隠れ残業が発生する

個人としてのレベルアップが急務になるだけでなく、収入が下がる傾向にあるのがデメリットです。

企業目線でのデメリット

  • 業務効率化が実現できないと生産性が下がる
  • 働き方改革の実現そのものに時間がかかる
  • 育成やツール導入などのコストが発生する

これまでの働き方を大きく変えることにより、機会損失やコストのリスクが懸念されます。

働き方改革推進における指標

働き方改革を推進するためには、高齢者の働き方や長時間労働を指標と捉えなければなりません。以下で解説する内容を、自社の現状と照らし合わせたうえ理解し、解決する必要があります。

高齢者の働き方

働き方改革により、さまざまな人材の理想が実現できるようになりました。そこで注目されているのが、高齢者の労働環境をどのように整備するのか、ということです。

働き方改革では、定年を迎えても働ける高齢者に着目し、労働環境を整えていくことが必要とされています。定年制度や継続雇用の延長、高齢者が働ける環境のマッチング支援などが代表的な施策です。

高齢者の働き方が柔軟になることで、企業全体の労働人口が上昇することにもつながります。少子高齢化により懸念される労働人口の減少を、高齢者の労働環境整備により防止可能です。

また、高齢者が前線で働くことで、介護人口の減少にもつながります。介護を検討した人生設計をしている家族が、より自由に働ける環境を整備するために重視したい観点です。

長時間労働

多くの企業で、長時間労働に対する不満や疑問が挙げられています。長時間労働は体への負担だけでなく、精神疾患につながる可能性も否定できません。

働き方改革を実践し、長時間労働に関する問題を解消することが、企業にとって必要な観点といえます。長時間労働を解消することで従業員の不満が軽減されるため、離職防止が可能です。

また、長時間労働が原因になる生産性や業務効率の低下などを、働き方改革の導入で防止できます。

近年、時間外労働の上限規制に着目した36協定が見直されたことで、長時間労働への意識も変化しつつあります。残業を前提とした業務を言い渡している企業は、働き方改革の指標として時間を設定すべきです。

働き方改革の推進に関連する法案

厚生労働省では、働き方改革を推進するためにさまざまな法案を提示しています。

法案例 概要
時間外労働の上限規制 残業時間の上限を月45時間、年間360時間とする
同一労働、同一賃金 正社員、非正規社員との待遇差を廃止する
有給休暇取得時期の指定 法定有給日数が年10日以上の従業員に対し、年5回の有給取得を必須とさせる

参考:時間外労働の上限規制(厚生労働省)同一労働同一賃金(厚生労働省)年次有給休暇の時季指定(厚生労働省)

また、働き方改革を推進するための、助成金制度があることも把握しておいてください。

  • 働き方改革推進支援助成金
  • 業務改善助成金
  • キャリアアップ助成金

参考:働き方改革推進支援助成金(厚生労働省)業務改善助成金(厚生労働省)キャリアアップ助成金(厚生労働省)

法改正や助成金制度など、さまざまな視点で働き方改革の推進が必要とされています。改正された内容を把握し、自社の現状に当てはめてみてください。また、働き方改革の推進にかかるコストが懸念される場合は、助成金の利用がおすすめです。

まとめ

一億総活躍社会の実現を目的として実施されている働き方改革。厚生労働省がさまざまな施策を実施していることからも、その重要性が理解できます。

働き方改革を実現することは、企業だけでなく従業員にもメリットがあります。理想のワークライフバランスなど、現状では実現できない理想を叶えるきっかけになるかもしれません。

新型コロナウイルスの感染拡大により働き方の多様化が求められる昨今。働き方改革について理解し、自社の労働環境を見つめ直す必要性があります。法改正や助成金の内容なども参考にし、新しい時代を生き抜ける働き方改革を実践してください。

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