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断固たる意思で新中期経営計画を成功へ導くグループ再編とM&A・グローバル展開を通じてさらなる成長へ――アース製薬株式会社

1892年創業。虫ケア用品や、オーラルケア、入浴剤、芳香剤など衛生環境にまつわる日用品を100年以上にわたり提供している。「地球を、キモチいい家に。」をスローガンに、「アースノーマット」「モンダミン」など数々の人気商品を通じて人びとの快適な暮らしを支え続けている。
お話を伺った方
代表取締役社長CEO 川端 克宜様
EXECUTIVE SUMMARY
- アース製薬では、2021年〜2023年度に実施された中期経営計画を「準備期」と位置づけ、多様な事業展開の基盤構築を実施。2024年〜2026年度の新中期経営計画は「移行期」として、グループ再編と利益体質強化を打ち立てた。同社は計画の立案と実施を支えるパートナーとして、リブ・コンサルティングを選んだ。
- リブ・コンサルティングは新中期経営計画について、基本方針に沿った重点方針、ロードマップを策定。事業ポートフォリオの最適化とそれに伴う資源配分の再編の一環として、グループ再編による経営体制の強化、入浴剤事業の戦略策定などを提案するほか、国内外におけるM&Aを軸とした成長戦略の立案に貢献した。

「やる」は前提。未来から逆算したグループ再編への覚悟
-リブ・コンサルティング村越(以下 リブ村越) プロジェクトスタートの経緯からお伺いしたいのですが、貴社ではこれまで、コンサルティング会社にプロジェクトを依頼したことはあるのでしょうか?
-アース製薬 川端 様(以下 川端) ほぼ初めてでした。当社には、コンサルティングを活用するというカルチャーがありませんでした。言葉を選ばず言えば、「食わず嫌い」の状態だったと思います。コンサルティング会社など外部パートナーに依頼する前に、まずは自分たちの力で成し遂げよう。そんな意識が現場や経営層にはあったのかもしれません。
この考えは、事業を推進する力にもなりました。一方で、社外の声を聞くことで課題を明確にし、プラスアルファの力を出せる場合もあると考えました。
-リブ・コンサルティング権田(以下 リブ権田) 初めてのコンサルティング会社活用ということで、プロジェクトの中心を担った経営統括本部の皆さんの苦労は多かったのではないでしょうか?
-川端 そうですね。僕たち経営層は、会社の状況を理解しているから動ける。でも、組織の中にはそうじゃない人も大勢います。「そんなところ(コンサル)にお金をかけてどうするのか」と思ったメンバーもいたでしょう。
コンサルティング会社に抵抗感を持つ人から理解を得るのに、経営統括本部のメンバーは多くの苦労を重ねたと思います。しかし、それもまた勉強の機会だと捉えれば、メンバーたちは非常に良い経験をできたのではないでしょうか。
-リブ村越 経営戦略を考えるメンバーの皆さんが、覚悟を持ってプロジェクトに臨んだのですね。今回のプロジェクトは、グループ再編という大きなテーマが含まれていました。企業変革は、社員の皆さんからすれば必ずしも望むものではなく、極力安定したいというのが本音だと思います。
グループの再編・統合は、途中で計画が頓挫するケースも少なくありません。川端社長はなぜ、強固な意思で変革の旗振りができたのですか?
-川端 身も蓋もない回答ですが、「やる」ことを前提に行動していたからです。アース製薬という会社の経営状況、そして我々が置かれている外部環境をよく理解したうえで、変革は必ず成し遂げなくてはならないことでした。
このまま10年後もやっていけるという確信があるなら、経営方針を変えないという選択肢を取るでしょう。でも、私にはその未来は見えなかった。一刻も早く、会社のあり方を変えていかなければならないというタイミングに来ていると思ったので、中期経営計画に乗り出したのです。
-リブ権田 確固たる信念があったのですね。
-川端 実際に、リブ・コンサルティングに依頼する時も、「グループ再編と統合はやった方がいいですか?」とは聞かなかったと思います。「やる」が前提だったからです。その上で、他社の事例など我々が持っていない知見を持つ、リブ・コンサルティングの力を借りるという決断に至りました。
-リブ権田 プロジェクトが進むにつれて、川端社長の言葉がどんどん強くなり、熱がこもっていくのを感じていました。統合のタイミングで「こうするんだ!」という断定的な表現が増えていった印象があります。
-川端 それは、皆さんとのコミュニケーションを絶え間なく続けてきたからじゃないかな。僕ですら、「そんなに頻繁に打ち合わせはいらんやろ!」と思うくらい、多くの言葉を交わしました(笑)。でも、それくらいのスパンで課題を明確にしながらコミュニケーションを取らせてもらったことで、自分の中でもどんどん考えが明確になっていったんです。

白紙状態からスタートしたプロジェクトで感じた伴走力
-リブ村越 中期経営計画はグループ再編が大きなテーマでしたが、具体的にどのようなグループにしていくかという考えはあったのでしょうか?
-川端 グループを再編するという方針は決まっていたものの、中身はノーアイデアでした。やり方、カテゴリーの分け方、ホールディングスにするのかなど、一切が白紙だったんです。
-リブ権田 そこを、私たちと一緒に議論しながら明確化していったわけですね。
-川端 今振り返ると、逆にそれが良かったと思っています。アース製薬のDNAや社風を一番分かっているのは私なので、「それはない」「これはありだな」と判断しながら、ゼロベースでリブ・コンサルティングと議論を重ねました。その結果、よりホールディングス機能を強化した体制を基盤とした組織の方向性が決まりました。細かいテーマはまだまだ精査が必要ですが、組織の骨格というもっとも重要な議論を決着できたことは、非常に大きな成果だと感じています。
-リブ権田 今回のプロジェクトでは、グループ再編の実行をどのタイミングで、どのように伝えていくかといったシナリオを緻密に設計していきました。特にIR(投資家向け広報)のタイミング、グループ会社への情報伝達など、伝達の順番や言葉選びについて、細かな議論を重ねたのを覚えています。
-川端 情報発信については、社内と社外・投資家の二つの視点を特に意識していました。社内においては、スピーディな変革を望む声と、急な変革に抵抗を覚える声。両方の立場を尊重しながら、それでいて二枚舌を駆使することのないよう、伝え方や伝えるタイミングには神経を使いました。
-リブ権田 その後、無事にバスクリンの統合やM&Aによるブランドの多角化、海外展開を社内外に発信できました。プロジェクトを通じて、コンサルティング会社に抱いていたイメージに変化はありましたか?
-川端 いい意味でのギャップがありました。過去の経験や第三者から漏れ聞くイメージとして、コンサルティング会社は非常にドライで冷たい印象があると考えていました。しかし、リブ・コンサルティングはその真逆で、コミュニケーションを密に取ってくれて面倒見も非常に良いのが印象的でした。
本プロジェクトにおいて、どのコンサルティング会社を選択するかのプロセスは担当部門に一任していました。彼らの自主性を尊重したかったのと、選んだ以上は責任を持ってプロジェクトに取り組んでもらいたかったからです。
そこで、メンバーが選択したのがリブ・コンサルティングでした。最初こそ不安な点はありましたが、すぐに「あ、この会社なら大丈夫だ」と考えが変わりましたね。そこから、私自身のプロジェクトに対する熱もどんどん上がっていきました。
-リブ村越 どのタイミングで「大丈夫だ」と感じていただけたのですか?
-川端 明確なタイミングはありません。コミュニケーションの回数を重ねるうちに、知らず知らずのうちに、そう感じていました。
リブ・コンサルティングの皆さんは、私たちのやりたいことを深く理解して、それを実現するための道筋を必死に考えてくれました。会話や提案の内容に違和感があれば、電話であれ直接であれ伝えたことでしょう。それをした記憶がないくらい、皆さんの対応は的確でした。この事実こそが、皆さんのコンサルティングが素晴らしいものであったことの証明だと捉えています。

未来への展望。変革の先に描くアース製薬の姿
-リブ権田 ありがとうございます。約2年間にわたるプロジェクトでしたが、川端社長から見て、今回の取り組みにおける一番の成果は何でしたか?
-川端 中期経営計画の肝となるグループ統合の解像度を高められたことが、もっとも大きな成果であることは間違いありません。それに加えて、コンサルティング会社に対する社内の理解を深められたこと、個々のメンバーに実力がついたことなど、お金に代えられない多くの成果も得られました。
特にメンバーの成長については、経営統括本部のメンバーがリブ・コンサルティングからナレッジやノウハウを学んだことで、数段レベルが上がったと感じています。プロジェクトの進め方やアウトプットされた資料などを見ると、その成長を強く実感できます。
当社は会社の規模の割に、経営の重要事項を決定する本部の人員が非常に少ないという事情を抱えていました。だからこそ、このタイミングで彼らのレベルアップを図れたことは、非常に良いことだと思います。
-リブ権田 今後、アース製薬はグローバル展開やM&Aをさらに加速させていくことになります。その中で、私たちリブ・コンサルティングに期待することはありますか?
-川端 私たちはこれから、数多くの壁に直面することとなるでしょう。M&Aでは文化の違う会社と一緒に仕事をすることとなるわけだし、グローバル展開ともなれば、言葉の壁などさらに多くの衝突が予想されます。
こうした壁を、自社だけで乗り切ることは困難かもしれません。そんな場面で、ぜひリブ・コンサルティングの力を借りたいと考えています。
-リブ権田 頼っていただけることがとても嬉しいです。アース製薬は一見すると順調な業績推移だと思うのですが、川端社長はなぜM&Aやグローバル展開を強力に推進していきたいのでしょうか?
-川端 成熟期を過ぎた日本において、一社でできることにはもはや限界があると考えているからです。業界内外の企業の実情を見てみると、本当に危機感を覚えます。「まだまだ大丈夫」と一社の力に頼った経営を続けた結果、気づいたときには取り返しがつかない状況に追い込まれ手遅れとなる。そんなケースをいくつも見てきました。
-リブ村越 アース製薬が変革に踏み切れたのは、川端社長の中に「このままではいけない」という強い意志があったからなのですね。最後に改めて、同じような悩みを感じていらっしゃる方々にメッセージをお願いできますでしょうか。
-川端 今回、アース製薬はM&Aや海外展開といった方針を打ち立てました。現状の事業領域での活動について、「このままではまずい」と感じている経営者の方々がいれば、リブ・コンサルティングに相談するのも良いでしょう。
リブ・コンサルティングは非常にコミュニケーション能力が高く、私たちが目指す未来や本当にやりたいことを深く理解してくれます。まずは話を聞いてみるだけでも、スムーズな意思疎通によって今抱えている経営の悩みがクリアになると思います。

※本記事の内容はインタビュー当時(2025年8月)のものです