2022.07.27

組織風土と組織文化の違い

組織文化は企業が目標を達成するための価値観や規則のことをいいます。それに対して、組織風土とは従業員が企業に対して感じている雰囲気や人間関係のことです。組織文化は経営者が企業のビジョンや理念などを従業員全員に浸透させることによって、価値観や判断基準を均一化させることができます。

組織文化は経営者が作り上げた価値観を従業員に浸透させており、組織風土は長年にわたり自然と根付いたものをいいます。そのため、組織文化は改革ができますが組織風土はなかなか変えることはできません。

組織風土とは

組織風土とは従業員に影響する職場環境の特性を指します。組織風土は仕事をしていくうえでモチベーションに大きく影響し、社内の雰囲気だけでなく業績にまで影響する可能性があります。組織風土は自然にできた習慣を指すことが一般的であり、自社内においては説明をしなくても当たり前のようになっている事柄や価値観を指しています。

組織風土の特徴

組織風土には次のような特徴があります。

外部からの影響は受けにくい

組織風土は社内の雰囲気や組織文化、環境により根付いていくものであるため外部からの影響はほとんど受けることがありません。

生産性が上がる

良い組織風土ができあがることによって、人間関係や仕事をする環境や雰囲気がよくなれば自然とモチベーションが上がります。そのため生産性を上げやすい環境であるといえます。

組織風土が出来上がる要因とは

組織風土が出来上がる要因としては次のものが挙げられます。

ハード的要素

まずハード的要素ですが、企業理念や人事制度、業務内容、就業規則などは経営側が作成し現場に下ろしている内容であるため、いわば強制的な内容です。しかし、従業員の満足度が下がると生産性が下がったり、離職率が上がったりとデメリットが大きいため従業員が納得できる内容である必要があります。

ハード面は経営者が作成することによって出来上がるものなので、組織風土の中でも変えられる部分です。

ソフト的要素

ソフト面は人間関係や職場の環境、モチベーション等が挙げられます。ソフト面は簡単に変えられる内容が少ないのですが、ハード面において従業員が納得できるようなものが増えればソフト面にも影響してきます。

例えば、人間関係は簡単に変えられるものではないですが、人事制度や業務内容、就業規則、評価などにおいて満足度が高ければ自然と相手に優しく接しやすくなります。

組織文化とは

組織文化は企業内において共有されている行動理念や価値観のことをいいます。組織文化は経営者が企業理念やビジョンをベースにして、従業員全員に浸透させていきます。そのため、組織文化が浸透しているということは従業員が企業理念やビジョンを理解して、共通の価値観を持っていることになります。

このため、業務をしていても大幅なズレがなく評価されやすくなるため従業員の満足度が上がります。

組織文化の特徴

組織文化には次のような特徴があります。

共有できる価値観がある

組織文化を確立することにより、従業員が共有できる価値観をもつことができます。組織文化は企業の理念やビジョンが含まれていることから、従業員全員が企業理念やビジョンを理解することにもつながります。

企業に対する理解が深まることで人材が定着できる環境となり、高齢化や少子化社会においての人材不足対策にもなります。

経営資源になる

組織文化は人材や、商品、サービス、ノウハウなどに次いで経営資源となるほど企業にとって重要なものです。安定した人材を確保したり企業が重要な判断をしたりするときにも組織文化を基準にすることができ、間違った判断をしにくくなります。

組織文化の活用方法

組織文化には次のような活用方法があります。

社員の評価

組織文化を基準にして社員の評価をすることができます。上司や採用担当者など感情が入らない明確な評価基準となるため、従業員にとってもモチベーションがあがるきっかけとなります。組織文化は企業理念やビジョンが元となっていることから、組織文化にそって業務を進めていくと必然的に企業に貢献していることになり、評価をするべき対象です。

ブランディング力の向上

組織文化が固まってくると、外部の企業や消費者などに対して自社のイメージを明確にアピールすることができます。組織文化は自社内だけでなく、外部に対しても影響があります。さらに、求職者に対しても自社を理解してもらいやすくなることから、ミスマッチを減らすことにもつながります。

組織風土と組織文化の違い

組織風土と組織文化の違いには次のような点が挙げられます。

  • 組織風土は変えにくく組織文化は変化できる
  • 組織文化は示し合わせてできたもので組織風土は根付いたもの
  • 組織文化はポジティブであるが組織風土はネガティブの可能性がある

組織風土は変えにくく組織文化は変化できる

組織風土と組織文化の大きな違いとして、組織文化は変えられますが組織風土はなかなか変えることはできません。組織文化はビジョンや行動規範を変えることによって、変更可能です。社会情勢や市場の変化などにより組織変化を変革する必要がある場合があります。

しかし、組織風土は企業においての活動や組織文化によって根付いたものであるため、意識的に変更することはなかなか変更することはできません。人間のくせはなかなかとれるものではありませんが、組織風土には同じような特徴があります。

組織文化は示し合わせてできたもので組織風土は根付いたもの

組織文化は経営者が考えた理想や企業理念を従業員に浸透させていきます。つまり組織文化とは、経営者が従業員に伝えるなど企業がみずから作り上げたものです。組織風土は組織文化や社風、その他さまざまな要素が重なり合って根付いたものをいいます。

組織文化はポジティブであるが組織風土はネガティブの可能性がある

組織文化は経営管理の一環として企業理念やビジョンをもとにして作り上げているため、基本的に企業にとってポジティブな内容です。しかし、組織風土は自然に根付いたものであるためポジティブな場合もネガティブな場合もあります。

例えば、コミュニケーションがとりにくい雰囲気である、問題を隠ぺいしてしまう傾向があるなどといった完全にネガティブな組織風土ができてしまう可能性があります。しかし、組織風土は暗黙的に共有されることから組織文化のように改革をされることはほとんどありません。

まとめ

組織文化は経営者が企業理念やビジョンを従業員に浸透させ出来上がった価値観や規則などのことをいいます。そのため、組織文化を基準にして採用活用や従業員の評価、また経営時の判断などをすることによって企業理念やビジョンから大きくずれることはありません。

従業員にとっても、企業が求めていることや人材を把握できるため満足度が上がり離職率が下がる要因にもなります。組織文化は社会や市場の変化などに合わせて改革をすることも可能です。

間違いやすい言葉に組織風土がありますが、意味合いは大きく違います。組織風土は人間でいえばくせや性格のようなもので自然と根付いたものなので、意識的に変えることはできません。人間のくせや性格も簡単に変えられるものではないのと同じです。企業のくせとは人間関係や社内でしか通用しない習慣などさまざまなものがあります。

同じように使う言葉に社風がありますが、社風は組織文化、組織風土の両方に影響されてできあがるものです。

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