2023.05.29

急成長企業に必要な幹部育成プログラムの事例

次世代幹部の育成を考えたときに、一般的なインプットやOJT、MBAなどが考えられますが、実際には活用できない、活用場面がない、忘れ去ってしまうパターンが多いのが実情です。経営リテラシーを上げつつ、どのようにバランスを取りながら複合的に成果を上げるかというところがポイントです。

今回は、リブ・コンサルティングが実際に支援した、人材育成・組織開発・戦略立案と複合的に成果を上げた企業の事例を紹介いたします。

次世代幹部を育成し、とどめておく難しさ

次世代幹部を育成し、とどめておく難しさ
次世代幹部の育成を考えたときに、一般的なインプットやOJT、MBAなどが考えられますが、一般的なコンテンツのインプットでは具体的な状況に活用できない、活用場面がない、忘れ去ってしまうパターンが多いのが実情です。

OJTで現場で学ぼうとしても、現場と経営陣の視座が大きく異なるため、経営リテラシーを上げていく動きも必要です。MBAへの派遣をエンゲージメントが高くない状態で実施するとキャリアアップのための退職の原因になりかねず、次世代幹部を育成し、かつ、とどめておく難しさがあります。

複合的な成果を狙う

一般的な研修ではなく、どうバランスを取りながら複合的に成果を上げていくかというところで、事業推進ができる人を育て、エンゲージメントを上げ、価値発揮する場所を作る、戦略立案をする、新規事業の開発をする、そういう複数の成果を複合的に追っていくことが重要です。

プログラムを通じた幹部育成事例の概要

今回、例に挙げるのは実際にリブ・コンサルティングが支援したBPO会社の事例ですが、事業内容にかかわらず、次のような段階になれば適用できるプログラムです。

  1. 急成長を遂げていて既存の事業で部門が増えてきた
  2. 既存事業から新しい柱になる次の事業を作っていきたい
  3. 増員により組織開発ができる人が必要になった

事例となる企業は、あるグループの中の会社のコストセンターと呼ばれる人事系や営業の補助のメンバーが独立をして、設立された会社です。株式譲渡の関係で外部資本も入っている設立3年目の会社ですが、3年連続で増収増益しており、従業員も倍増しています。この規模になっても機動力を保つために執行役員体制に移行しています。

創業後、3年で倍の規模になっているため、組織の歪みも大きく、急成長に伴った責任者の育成が追いつかず、次のような課題がありました。

  • 採用メンバーはメンバークラスなので責任者が足りない
  • 執行役には問題発見能力を身につけてほしい
  • マネージャーにはアイデア創出や探索スキルが欲しい

また、元々がコストセンターだったため、利益を追っていく営業メンバーが少なく、評価指標が納期から損益へと大きくシフトしたことも幹部を入れ替えたほうがよいのかもしれないという状況でした。

プログラム作成時の想い

プログラム作成時には社長と話し合って決めたのですが、そこでは共有したい目標、提供したいもの、浸透させたいカルチャーの3つが挙げられました。

共有したい目標としてはグループ内でなくてはならない存在になるというものです。新しいグループの資本が入っていますが、資本が入っただけでまだグループにとってなくてはならない存在にはまだなれてないのが実情です。

提供したいものとしては「強い人が短期間で育つ土壌」、「仕事のやりがい」があります。コストセンター出身なので指示をやりきる風土はあったのですが、強く事業推進をしていく力、やりがいを持ってやりきるという点では課題がありました。

浸透させたいカルチャーについて、協調性の高い人はいたので、協力して業務推進していくことはできたのですが、厳しさを持てきれてない人も多かったのが実際です。厳しい環境でも生き残る、ある種難しい判断をしていく力が必要であり、協調性と厳しさのバランスを取りながら公平に実力主義判断していく空気を作っていきたいとのことです。

幹部育成プログラムのポイント

  1. 昇降格前提のジュニアボード化
  2. リアリティのある学び
  3. ハードスキルとソフトスキルのバランス

昇降格前提のジュニアボード化

まず、昇降格前提のジュニアボードを作りました。過去の実績や入社年次で役職が決まっていましたが、経営陣という観点へ評価基準を変えることを目指しました。評価基準が変わるから今の役員も残るとは限らないのが前提ですので、昇降格に向けた助走期間としてプログラムを作っています。

プログラムの中で幹部候補の方が自社の成長戦略を描き、最後に発表し合うので、経営のリテラシーとセンスが明らかになります。さらに公平で明確な理由で評価される場にしていくということが1つ目のポイントでした。

リアリティのある学び

経営リテラシーは思った以上にリアリティがないことが多く、実務と結びつかないことも多いため、経営層から遠い層には何を学んでるかわからないところがあります。

前提として、「熱意が高くて、負荷に耐えられ、確実にやりきる人財」ということがありますが、インプットのために最後には成長戦略立案する、経営ゲームでなぜ勝ったのか、なぜ負けたのかというところから入っていくようにすることでリアリティのある学びにしています。

ハードスキルとソフトスキルのバランス

ハードスキルとソフトスキルのバランスは企業の判断次第なのですが、今回はソフトスキルに対して、力を入れていくことになりました。ソフトスキルは実務の中で身につけることはありますが、意識して学ぶことはほとんどなく、役員だからこそソフトスキルが問われるところもあるためです。

幹部育成プログラムの実施方法

まず、受講者は選抜性です。特別感を醸成してエンゲージメントを高めることがファーストステップだったので、公募してエントリーシートを集め、書類選考します。普段の業務成績や面接も見て、受講決定者には華々しい招待状を渡す、こうすることによって「選ばれた感」や「栄誉ある場に招待された感」が出て、コミットメントがまったく変わってきます。

次に生き残り型のプログラムにしました。栄誉あるところに選ばれたのですが、さらに選抜しますというサバイバル風な緊張感を醸成したいためです。下位10%の成績をとったときには脱落、低い成績だった場合や提出物が遅れた場合にも脱落という形で20人参加しても最後まで残るのは15人位になるようにします。

講義はシンプルに月1回の講義にします。宿題を出して採点もしますが、この会社はセールスフォースを使っているため、チャットで「学びを現場でどう活かしましたか」、「現場で実践してどういう学びを得ましたか」という形でフォローアップをしております。

最後には発表があるのですが、その前のレビューという形で5チームほど作り、実際の戦略を考えていただき、戦略として誰に何を売るのか、競合はどこでどういう価値を出しているのか、のような話や実施に必要な組織はどうするかというような話、キャッシュフローをどうするのかなどをレビューしていきます。

受講者選抜制

受講者選抜のエントリーシートでは、「本講座の受講を希望する理由をお答えください」や「受講後、どのように業務に活用する予定か」などを記入させることで、現場に活かすという意識を醸成します。さらに受かった人には参加通知をお渡ししています。

生き残り制

生き残り制では、Excellent、Good、Pass、Low Pass、Failの5段階で評価し、下位10%がLow Passで2回Low Passだと脱落、Failの時点で以降のプログラムには参加できないという仕組みを取りました。

講義・サポート

講義とサポートでは、オンボーディング、インプット、アウトプットの3つを行なっています。

ネクストリーダーズという経営ゲームにより、なぜ勝ったのか、なぜ負けたのかを考え、リーダーシップやコミュニケーションを求めていきます。インプットではケースメソッドで戦略的な考え方と財務的なセンスを養い、最後は3か月かけてアウトプットを作って自社の成長戦略を描いてプレゼンする流れになっています。

経営ゲーム


ネクストリーダーズという経営ゲームはカードゲームで、一番多くの売上を作ったチームが勝ちなのですが、全部で4回開催するようにします。

  1. ルールがわからない中で指針を立てて動く力を問う
  2. ルールがわかったあとで統率の取れた動きをする
  3. 他のチームもルールがわかっているのでうまく交渉する
  4. 実施したいことの優先順位をうまくつける

このように、同じことを繰り返すだけではありますが、それぞれのタイミングで問われるリーダーシップが異なり、チーム毎に個性が出るため、そのあとの学びも大きくなってきます。

マインドのインストール

リーダーシップの観点では判断が難しく哲学が問われるシーンも出てきます。よくある「プロフェッショナルの条件」を例に挙げると「真摯であるか、真摯ではないか」や「知りながら害をなすな」というような哲学的なことを考える時間も取るようにしております。

リーダーシップの4つのE


リーダーシップには4つのEがあります。

  1. Energy(エネルギー):エネルギーにあふれている
  2. Energize(エナジャイズ):元気づける
  3. Edge(エッジ):困難な決断を下す
  4. Execute(エグゼキューと):完遂する

上記4つの項目について、リーダーシップとはどうあるべきかを議論いたします。

スキルのインストール

サウスウェスト航空のようなケーススタディを通して戦略を理解できます。顧客に対して自社が提供していて、かつ、競合が提供していない独自性を強みと定義し、この観点を持つことで視座が変わってきます。こういった価値提供をするために外部・内部の一貫性はどうするかというような戦略の具体論の話をいたします。

自社ビジョン・事業計画のアウトプット


組織サイドのキャリアパスとして、どの階層の社員に何を期待するのかを描き、組織力向上のためにティール型組織やマズロー、ハーズバーグなどの話を通して、基礎基本を実際に当てはめるとどうなるのかという話をします。そのために、ビジョンを打ち出し、KGI・KPI達成のためのアクションまで整理します。

幹部育成プログラムの成果


このような形で幹部育成プログラムを実施した結果、幹部人材の育成だけではなく、組織開発や戦略立案にもつながり、毎年恒例のプログラムとして組織に根付かせることができました。

その後の展開

今回は幹部育成プログラムということで支援をいたしましたが、幹部になる前に管理職になるための登竜門として、もう1段階差し込むということで2階建て構想が生まれました。その中で成長した人が経営幹部になるという構造です。

階層別に必要なスキル


今回は経営幹部層向けにコンセプチュアルスキル(概念化能力)を強化いたしましたが、管理職にはヒューマンスキル(対人能力)やテクニカルスキル(業務遂行能力)も求められ、コンセプチュアルスキルは必ずしもテクニカルスキルの延長上にあるわけではないため、幹部育成プログラムとは別で検討する必要があります。

まとめ


今回の幹部育成プログラムの成功の要因は主に3つあります。

  1. コンテンツ設計
  2. 仕掛け
  3. 体制作り

コンテンツでは、講座で理解して課題で定着させる流れを作りました。課題図書やグループワークを通してインプットの習慣をつけています。仕掛けでは、選抜制と生き残り制もありますが、プログラムの社内ブランド化を行なっています。体制作りでは毎回役員からの冒頭あいさつがあり、役員からの働き方を強めることで熱量を高めることでメンバーのコミットメントを上げています。

このように、次世代幹部の育成を考えたときには一般的なインプットやOJTだけではなく、経営リテラシーの向上を目指しつつ、複合的に成果を上げることが重要です。

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