2022.06.29

リーンスタートアップのフレームワーク

リーンスタートアップとは本格的な商品開発をはじめる前に、最低限の機能を備えた試作品で顧客の反応を確認し、分析することで良質な商品やサービスを開発する経営手法のことです。施策品の検証と改善を繰り返すことによって、これまでにないモノを生み出すことができます。

リーンスタートアップへ効果的に取り組むためには、リーンキャンバスと呼ばれるフレームワークを活用すると良いです。フレームワークには現状の可視化や情報の共有がスムーズになるなどのメリットがあります。

時系列を意識する、取り組み方を工夫するといった注意点もあるので、リーンキャンバスについての理解を深めることにより、リーンスタートアップ活用の成功に向けて業務に取り掛かることができるはずです。

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リーンキャンバスとは

リーンキャンバスはリーンスタートアップをうまく活用するためのフレームワークであり、新規の事業開発を成功させる戦略の立案に役立ちます。

課題や解決策、顧客など9つの項目ごとに情報を整理することができます。顧客にどんなニーズがあるのか、開発する商品によってどんな課題を解決できるのかなどの予測から、新規事業に必要な業務を効果的に進めることが可能です。

リーンキャンバスの目的

リーンキャンバスの目的は、情報の整理や可視化、商品開発の再現性、社員どうしのコミュニケーションなどさまざまです。フレームワークは手段の1つであるため必須ではありませんが、単に情報を整理するものではないことに注意するべきです。

情報の整理や共有は事業を円滑に進めるうえで重要な要素です。しかし、整理しただけでは今後どのように開発を進めるべきか分かりません。最終ゴールに向けたプロセスと商品の将来像をイメージさせることが、リーンキャンバスの活用には求められます。

リーンスタートアップにフレームワークを利用するメリット

リーンスタートアップをうまく活用するためにフレームワークが大きく役立ちますが、ほかにもリーンキャンバスを利用するメリットがあります。

フレームワークを活用するメリットは次のとおりです。

  • 現状を可視化できる
  • サービス内容の共有がスムーズになる
  • 事業内容を上司に伝えやすい

現状を可視化できる

項目ごとに分けて商品や顧客の情報を整理するので、現状を可視化することができます。どういった商品が顧客のニーズに応えることができるのか、どんな商品を開発して業務を進めるのかなど、事業の内容を理解するために可視化は重要です。

サービス内容の共有がスムーズになる

リーンキャンバスでは9つの項目が1箇所にまとまってるので、情報の把握に手間がかからず、共有がスムーズになります。効率的に業務を進めるためには社内での情報共有が必要な要素であり、社員どうしが進捗状況を確認し合うことで、認識のギャップによる作業ミスを削減することができるはずです。

事業内容を上司に伝えやすい

リーンキャンバスの利用により事業内容の可視化と共有がスムーズになるだけでなく、上司や関係者に事業内容を伝えやすくなります。項目ごとに整理した情報から商品にどんな価値があるのか、どういった魅力が顧客から人気を集めるのかを明確化するのに役立ちます。

リーンキャンバスにおける9つの項目

リーンキャンバスには9つの項目があります。項目に情報を埋めることで情報の整理が可能になり、今後どうするべきか施策を考えることができます。

1.課題

まずは顧客がどんなニーズや課題を抱えているのか調査します。誰も求めていないモノを開発しても時間やコストの無駄に終わるため、商品を売るにあたってニーズの把握は必須です。未知の市場であるとニーズは比較的あいまいである可能性が高いので、ある程度調べることができたら顧客セグメントを絞ります。

2.顧客

調査した課題を抱える顧客について整理します。具体的にターゲットを設定して顧客が求めているものは何か考えるのですが、20代男性の東京住みといったように、より鮮明にターゲットを決めた方が今後施策を立てやすいです。

3.価値

顧客が抱える課題に対してどんな価値を提供するべきか考えます。モノを販売するためには顧客がお金を払うほどの価値が必要になるため、数多くの案を生み出したうえで、もっとも価値のあるものを探すべきです。

4.解決策

価値提供におけるソリューションを考えます。開発する商品の特徴や機能を整理し、自社の強みを活かした商品を試行錯誤します。

5.販路

商品を販売するためには集客が必要です。どのような経路で人を集めるのか、どうやって商品の認知を拡大するのかといったように、利益を生み出すための集客方法について考えます。

6.収益構造

商品の価格や収益を生み出す仕組みの考案です。どの領域で事業を展開するのか市場の選択だけでなく、参入する市場ではどれくらいの規模の売上が見込めるのかの予測もします。

7.費用

事業を開発するにあたって、コストがどれくらい必要であるかの確認です。新規事業の立ち上げでは商品の開発にかかる費用だけでなく、人材の雇用やシステムの導入などさまざまな面でお金が必要になります。失敗による損害を軽減するためにも、コストの計算は入念におこなうべきです。

8.指標

事業開発における評価の指標を決定します。事業を成功させるための目標設定でもあり、具体的な数値で表記すると、現状と目標との差が明確になるのでおすすめです。

9.優位性

競合との立ち位置を確認し、優位性について考えます。市場ではライバル会社と競い合うことにもなるため、他社の強みを把握したうえで自社がどの部分で勝るのかを理解することが重要です。

フレームワークを活用する際の注意点

リーンスタートアップを効果的に進めることができるフレームワークですが、活用の際は注意しなければならない点がいくつか存在します。

フレームワークを活用する際の注意点は次のとおりです。

  • 必要な項目だけを埋める
  • 時系列を意識する
  • 取り組み方を工夫する

必要な項目だけを埋める

リーンキャンバスの項目には、リーンスタートアップによる検証と改善の繰り返しが反映されます。項目をすべて埋めることも重要ですが、場合によっては必要な部分のみの記入で良いです。

必ず9つすべての項目に記入しなくとも、商品開発の実現に向けた内容であれば現状確認や情報の共有などは可能であるので、必要最低限の項目へ記入するだけでも十分となります。

時系列を意識する

リーンキャンバスへの取り組みの際は時系列を意識することが重要です。時間軸が前後してしまうと、情報はいつの時点のものであるのかと複雑化してしまい、確認や共有のトラブルにつながります。

スケジュール管理を徹底することで、事業の拡大がうまく進んでいない場合の施策や開発プロセスの構築を考えることができます。

取り組み方を工夫する

フレームワークの取り組み方には工夫が必要になります。組織でリーンキャンバスへ取り組む際は、1人ひとりがゼロからつくり始めるのではなく、代表者1名がすべての項目を埋めた方が良いです。

複数で取り組んだ場合は、項目に入れるべき情報が多数決で決まることもあるはずで、大多数の意見だからと言って成功につながる確率が上がるわけではありません。1人で考えたうえで、ほかの社員からの意見を取り入れることでより良い戦略を立案できます。

まとめ

リーンスタートアップとは事業開発に役立つマネジメント手法を意味します。試作品を顧客に提供することで反応を確認し、改善するといったサイクルを繰り返し続けると、顧客の求める良質な商品を開発することができるはずです。

新規事業の立ち上げではリーンキャンバスというフレームワークを活用することによって情報の整理や共有、現状の可視化を可能にします。単に情報を整理するものではなく、社員や関係者に商品の将来像と最終ゴールまでのプロセスをイメージさせることが重要です。

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