2022.05.25

PMIとは

PMI(Post Merger Integration、ポスト・マージャー・インテグレーション)とは企業買収したのちに、経営戦略などを練りその効果を最大化する指針のことです。M&A後に緻密で明確なPMIを打ち出すことにより、企業が持つ力を最大限に発揮し、また従業員が迷いなく働くことができます。

逆に、中途半端なPMIを打ち出したり、PMIを作成する工程を省いていきなり事業を開始すると、上手くいかない傾向が多々あります。なのでM&Aをしたあとは、しっかりとしたPMIを練ってそれを企業内に浸透させることがとても大切です。

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PMIとは

PMIとは、Post Merger Integration(ポスト・マージャー・インテグレーション)の略で、企業がM&A(企業間の合併や買収)をした後に、統合効果を最大化する際の戦略を図る過程やその作業全般のことを指します。

M&Aをしたあとにその企業などが上手くいくかどうかについては、このPMIが大きな鍵を握ります。

PMIの重要性

PMIの重要なポイントは次の3つです。

  • シナジー効果を狙う
  • 企業同士の理念や目的のすりあわせ
  • 統合後の体制統一

シナジー効果を狙う

PMIはより良いシナジー効果が生まれる可能性があります。売り手側の企業と買い手側の企業双方のより良いポイントを引き出すために、しっかりとした中長期的なビジョンを立てることが大切です。

逆に言うと、せっかくM&Aを実施しても、しっかりとしたPMIを立てなければ企業価値が統合以前に比べて下がってしまう恐れがあります。そのため、より良いシナジー効果を生むためにも、しっかりとしたPMIを設計する必要があります。

企業同士の理念や目的のすり合わせ

M&Aは異なる雰囲気や風土の企業同士がひとつにまとまることなので、統合後の企業理念や将来的なビジョンのすり合わせは必須です。この作業を怠ると、事業開始後にミスマッチが生まれたり、従業員同士の意見の食い違いからトラブルなどが起こったりしてうまくいかなくなることも起こりえます。

なかには、M&Aをすることに対して良く思っていない従業員もいるかもしれません。そのため、従業員に対してはM&A後の狙いや展開について、PMIもあわせて入念に説明するようにしてください。

統合後の体制統一

M&A後に強力な会社を築くためにも内部の体制統一を練り直す必要があります。特に中小企業の場合であればまだまだ体制が完璧に整っていない場合も多々あります。

買収前の体制で進めてしまうと、これからの業務で失敗が増えたり誤った判断をしてしまったりするかもしれません。そのため、PMIをしっかりと整備して、内部体制も明確に統一することが重要です。

理想的なPMIの進め方

理想的なPMIの進め方は次のとおりです。

  • 経営方針や指針の決定
  • 今後のプランの設定
  • 既存制度の見直しと新規制度の融合

経営方針や指針の決定

まず大事なのが、企業の経営方針や指針を決めることです。

M&Aをする前の企業はそれぞれ、方向性や指針などは異なっていたはずです。そのため、PMIを練る際にしっかりとそれぞれの企業が重視していることや大事にしている考え方などをすり合わせて、双方にとって理想的な経営方針を定めることが非常に重要です。

今後のプランの設定

会社の経営方針や指針が定まったら、次は今後のプランの設定が必要です。

今の会社の現状をさまざまなデータを元に分析し、課題を探ります。そして、見つかった課題に対して、短期的な目標と中長期的な目標をそれぞれ設定してください。あとはその目標から逆算して今やるべきことをこなしていくという流れになります。

既存制度の見直しと新規制度の融合

現状の組織や既存制度の見直しもおこなってください。

具体的には、今ある会社内の既存のルールや規定、マナーなどについて本当にそれが必要なのか、ベストなのかを再度見直します。加えて、人事や財務などの経理面でも諸々見直してすり合わせする必要があります。

PMIを成功させるポイント

PMIを成功させるポイントは次のとおりです。

  • 全体の方向性をデザインする
  • 意思決定や物事を進めるスピード感を共有する
  • 全員の認識を合わせて理解・共感を得る

全体の方向性をデザインする

より良いPMIを実行するうえで始めにやるべきことは、M&A後の企業の全体の方向性をデザインすることです。一緒に仕事をしていく従業員が同じ方向性を向いて切磋琢磨してがんばるためにも、しっかりとした今後の方向性作りと社員への共有が必要です。最初に1度しっかりと作り込めば、今後迷った際に振り返る明確な指針になります。

意思決定や物事を進めるスピード感を共有する

意外と大切なポイントが、意思決定や物事を進めるスピード感を社員全員で共有しておくことです。仕事のスピード感は企業によってもさまざまです。企業が合併や買収をしたあと、同じスピード感で仕事ができれば、事業がうまくいく可能性が上がります。

全員の認識を合わせて理解・共感を得る

会社には企業理念などに沿ったいろいろなルールやマナーなどがありますが、それら1つ1つに対して従業員全員の認識を合わせておくことが重要であり、それらのルールやマナーなどについて、なぜそうなのかを理解・共感を得ることも肝心です。働いている従業員が納得してポジティブに働けるためにも大事な要素となります。

PMIが失敗してしまう理由

PMIが失敗してしまう理由には次のようなものが挙げられます。

  • 金銭管理の欠如
  • 相手への敬意の欠如
  • PMIに関する知識の欠如
  • 計画性の欠如

金銭管理の欠如

貸借対照表の記載が不十分だったり、必要経費がしっかりと計算されていなかったりと金銭面の管理やそれに付随するお金の動きの計算が不十分だと、PMIがうまくいかないことも多々あります。

また、金銭管理がずさんだと、働いている従業員からも疑問に思われるなど、会社の信頼性にも影響を及ぼします。そうならないためにも、しっかりとした金銭管理が必須です。

相手への敬意の欠如

PMIの計画をもとに、さまざまなクライアントといろいろな交渉をする機会もあります。そういった際に、相手への敬意を意識してください。相手から自分自身への敬意がないと感じられた場合、交渉はうまくいかなくなります。

これがPMIが成功するかどうかに関わってきます。交渉などの場面において、まず最初は相手への敬意を示してください。

PMIに関する知識の欠如

当然ですが、PMI全体に関する知識が乏しいとPMIが失敗する可能性も高くなります。M&Aもそうですが、企業買収をするときにはある程度の知識が必要です。最低限の知識を蓄えたうえでPMIに取り掛かってください。

計画性の欠如

立てた計画が甘かったときもPMIに失敗する原因のひとつとなります。中長期的な目標と短期的な目標をそれぞれ立てますが、その次に本当に現実的な目標で、達成できるかを数字面でシュミレーションしてみる必要があります。

あまりにも実現できなさそうな計画を立ててしまうと、PMIは失敗する可能性が高くなります。

まとめ

M&A後にはしっかりとしたPMIを立て、それに沿って忠実に実践することが事業が成功するかどうかの鍵を握ります。M&A以前の企業同士が大切にしていることをすり合わせること、全従業員に対して社内で意思決定や仕事のスピード感を共有して認識を揃えておくことが重要です。

また、M&Aをしたあと、従業員全員で再度企業が目指す方向性や見通しなどをしっかりと立てることも大切です。

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