2023.05.30

1on1ミーティングとは

1on1ミーティングとは上司と部下の間による1対1でのミーティングであり、定期的におこなわれることが一般的です。アメリカのシリコンバレーで人材育成を目的に確立されました。日本でもヤフー株式会社が導入したことから注目が集まり、近年では導入する企業が増えています。1on1ミーティングには常に変化する環境や人材不足への対応など、さまざまなメリットがあります。

1on1ミーティングとは

1on1ミーティングとは上司や部下において個別のミーティングをすることです。1on1ミーティングを開催することで、上司と部下の間でコミュニケーションをとり、従業員一人ひとりのパフォーマンスを上げることが目的です。コミュニケーションを取る場を設けることで、上司と部下の間で信頼関係の構築にもつながります。

人事評価面談との比較

1on1ミーティングと人事評価面談はいずれも上司と部下の面談です。しかし、1on1ミーティングは部下のレベルアップ、人事評価面談は部下の管理とそれぞれ目的が異なるのです。1on1ミーティングは主体が部下で毎月おこなうことが一般的であるのに対して、評価面談の主題は会社もしくは上司で、半期や四半期に開催されるケースが多く見られます。

1on1ミーティングの需要が高まった背景

1on1ミーティングの需要が高まっていますが、次のような背景が挙げられます。

  1. VUCAへの対応
  2. 多様性を重視する社会への対応
  3. ヤフーの取り組み

VUCAへの対応

VUCAとはビジネスにおける環境が変化することで、今後の予測がむずかしいことを表す言葉であり、次の4つが含まれています。

  1. Volatility(変動性)
  2. Uncertainty(不確実性)
  3. Complexity(複雑性)
  4. Ambiguity(曖昧性)

1on1ミーティングでは、部下が自分で考えて行動することを促進することが可能です。そのため、環境の変化にも対応しやすい人材を育てられます。さらに、部下とコミュニケーションをとることで、上司や企業との信頼関係の構築ができ優秀な人材の離職防止にもつながります。

多様性を重視する社会への対応

現代社会において、多様性を重視する傾向にあり、明確なロールモデルが存在しないようになりました。そのため、理想的とする人材が明確になっていない企業が多く、必要とされるスキルや経験なども常に変化しているのです。1on1ミーティングを導入することで、人材育成においても時代に合わせた柔軟な対応をできるようになります。

ヤフー株式会社の取り組み

ヤフー株式会社では、2012年に従業員一人ひとりの才能を基準とした人材育成をコンセプトとして、1on1ミーティングを導入し注目を集めました。上司と部下がコミュニケーションをとり理解をし合うことで、部下のやる気や才能を引き出すことが目的です。さらに、コミュニケーションをとることによって、トラブルの削減にもつながりました。

1on1ミーティングの目的

1on1ミーティングには次のような目的が挙げられます。

  1. コミュニケーションの強化
  2. 目標に対する進捗状況の確認
  3. モチベーションの向上

コミュニケーションの強化

1on1ミーティングの大きな目的として、上司と部下の間でコミュニケーションを強化することが挙げられます。日本では少子高齢化が続いており、労働人口が減少しています。さらに終身雇用や年功序列といった長年日本で導入されていた雇用方法が崩れて、転職に対して抵抗がなくなっているのです。企業としては、限られた人的リソースにおいて経営を続ける必要があります。

目標に対する進捗状況の確認

1on1ミーティングにおいて上司と部下の間で設定した目標の進捗状況を確認できます。必要に応じて修正をしたり、上司がアドバイスをしたりなど部下の成長をサポートできる場となるのです。

モチベーションの向上

1on1ミーティングを導入することによって、上司とコミュニケーションを取る機会が増えます。そのため上司は、部下一人ひとりの強みや考え方を把握でき適切な配置転換をしやすくなります。さらに、部下一人ひとりが持つキャリアプランを理解して、実現に向けた支援をすることが可能です。これらのことから、従業員がモチベーションの向上をしやすい環境づくりができます。

1on1ミーティングにおいて確認すべき内容

1on1ミーティングにおいて次の内容を確認することが一般的です。

  1. 業務における確認
  2. 従業員に関する内容の確認

業務における確認

1on1ミーティングにおいて従業員一人ひとりの進捗状況を確認をします。進捗状況が思わしくない場合や課題がある場合は、思ったように業務が進んでいない理由や課題などを明確にすることが重要です。進捗状況以外にも、従業員一人ひとりが業務に対して考えていることを理解できる機会でもあります。

従業員に関する内容の確認

1on1ミーティングでは、従業員一人ひとりの健康状態やモチベーション、プライベートについても理解することで、信頼関係の構築につながりやすくなるのです。上司と定期的にコミュニケーションをとることによって、これまでの成功体験や失敗体験を振り返るようになり経験学習が身につくようになります。さらに、従業員一人ひとりが経験を振り返ることによって自身の適性に気づく可能性があり、キャリア開発につながる可能性があるのです。

1on1ミーティングの注意点

1on1ミーティングには次のような注意点があります。

  1. 明確なミーティングの目的が必要
  2. 継続的におこなうことが必要
  3. 形骸化に注意
  4. 頻度や時間に注意

明確なミーティングの目的が必要

1on1ミーティングは、従業員一人ひとりの育成や内省支援の場です。上司が部下に対して質問攻めをしたり部下を管理したりすると、1on1ミーティングにおける本来の趣旨とはかけ離れてしまいます。業務の進捗状況や課題への対策以外に、従業員一人ひとりの体調確認やキャリアプランの確認など相互理解をするためにさまざまな確認事項があります。一度にすべてを確認することは容易ではないため、それぞれのミーティングにおいて明確な目的を設定することが重要です。

継続的におこなうことが必要

1on1ミーティングは継続的におこなうことが必要です。単発で1on1ミーティングをおこなっても、上司と部下のリレーションを構築することができず相互理解につながるとはいえません。

形骸化に注意

1on1ミーティングを継続しておこなっていくうえで、形骸化してしまう可能性があります。目的が不明確で必要な情報を共有されないまま1on1ミーティングされ続けると、開催する意義がなくなり1on1ミーティングの形骸化が起きる可能性があるのです。

頻度や時間に注意

1on1ミーティングにおいて適切な頻度や実施時間は決まっていません。上司が担当している部下の人数や特性によっても変わります。部下のコンディションを詳細に把握するためには、短い期間で定期的にミーティングをおこなうことが効果的です。しかし、上司の負荷を考慮することも大切であり、適度な頻度で1on1ミーティングをおこなうことが重要です。

まとめ

1on1ミーティングとは、継続的に上司と部下が1対1でコミュニケーションをとることで進捗状況の確認や部下の内省支援をおこなうことです。部下にとって上司が理解してくれることで、モチベーションが上がり生産性が高まる可能性があります。さらに、部下一人ひとりのキャリアプランを理解することで、部下のモチベーションが上がり離職率の低下を期待できるのです。

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