- 経営戦略
プロセスエコノミーとは
プロセスエコノミーとは、企業の成長やアイデアを生み出すまでの過程を発信し、収益につなげることを意味します。
近年、技術の発展により商品やサービスの差別化がむずかしくなっています。価値のあるモノを提供しようとしても数に埋もれてしまい、世の人々に認知、評価されないことも少なくありません。
拡大しきった市場のなかでも、プロセスエコノミーを活用した企業は他社と差別化することが可能です。競合との争いが激化するなか、企業が差別化をはかるためには、人々に共感を得ることのできるプロセスエコノミーを利用する必要があります。
プロセスエコノミーとは
プロセスエコノミーとは、商品を生み出すまでのプロセスを発信し、収益につなげる考え方のことです。モノを売るだけでなく、生み出すプロセスでも利益を上げるということを意味します。
数々の業界でプロセスエコノミーは活用されており、音楽業界やゲーム業界、ビジネス業界などで大きな利益を生み出しています。商品の差別化に役立つため、まだ活用していない企業は今すぐにでも利用をするべきです。
注目される背景
近年ではプロセスエコノミーが拡大し続けていますが、その背景には情報発信の技術が高くなったこと、ストーリー性を求める人が増加したことなどが挙げられます。
インターネットやSNSといった誰でも情報発信できるツールが普及し、当たり前のものとなりました。伝えたい情報が簡単に届くようになり、不特定多数のユーザーへの発信も可能となっています。
人々は常に多くの情報が入って来るようになってくると、より質の高いものを求めるようになります。高品質なモノが普及し始めると差別化がむずかしくなるため、多くの企業はモノを生み出すまでの過程に注目し始めました。
アウトプットエコノミーとの違い
アウトプットエコノミーとは、プロセスを収益につなげるものではなく、生み出した商品で利益を上げることです。プロセスエコノミーが注目される前までは、アウトプットエコノミーがビジネスをおこなううえで主流の考え方でした。
テクノロジーの発展により商品を差別化できなくなっています。そのため、商品自体だけでなく、生み出す過程に価値を見出す企業が増え、プロセスエコノミーは注目されるようになりました。
プロセスエコノミーのメリット
単にプロセスエコノミーを活用しても意味はなく、売上につながりません。結果を出すためにも、どのような部分が何に関係するのか把握する必要があります。
プロセスエコノミーのメリットは主に以下の4点です。
- 新規顧客を獲得できる
- 収益が安定化する
- オリジナルストーリーで差別化できる
- 多くの人から共感を得る
企業の成長過程や商品を生み出した工程に関する情報発信をおこなうことで、新規顧客の獲得が期待できます。このとき重要であることは共感性があるかどうかです。
ストーリーに共感してもらうことができればファンが増え、認知や人気の拡大につながります。また、根強いファンを獲得することにより収益の安定化も見込めます。
ストーリーは企業のオリジナル要素であり、誰も真似することはできません。そのため、プロセスエコノミーは差別化に大きく役立ちます。より共感性の強いストーリーであれば、
多くの方から共感を得ることができ、企業の成長を促進するはずです。
プロセスエコノミーの活用事例
利益拡大につながるプロセスエコノミーは、多くの業界で活用されています。会社にうまく取り入れるためにも、実例を把握するべきです。
代表的な活用事例は、以下のとおりです。
- オーディション番組
- メイキング映像
- クラウドファンディング
- ライブ配信
オーディション番組
オーディション番組とは、メディアで放送される公開オーディションです。デビューに向けてライバルと成長していく姿から、番組をとおして人気になるアイドルは数多く存在します。
韓国では視聴者の投票でデビューメンバーを決める番組があり、その人気は絶大です。また、番組でデビューできなかった練習生にも固定ファンが付くため、非常に影響力があります。
メイキング映像
メイキング映像とは、作品が完成するまでのプロセスを1つの動画にしたものです。アーティストのMV（music video）やアニメーション、漫画、ドラマ制作などでよく撮影されます。
作品自体を見るだけでも面白いですが、作り上げられるプロセスを知ることで、より一層作品の魅力が増します。
出演者の裏の顔や作品に対するこだわりが明らかになる内容となっているので、メイキング映像は多くの方から人気です。コアなファンだと、新しい作品が出る度に購入する方もいます。
クラウドファンディング
クラウドファンディングとは目的を掲げて出資者を募り、大多数の人から資金を調達することです。自分の資本だけでは事業を起こせない人でも、出資者を募集すれば資金を集めることができます。
調達の際は、おこなうプロジェクトの魅力を伝える必要があるので、共感できるストーリーを組み合わせることが重要です。クラウドファンディングはインターネットでおこなうため、内容次第では高額な資金が集まります。
ライブ配信
ライブ配信とは、生放送で演者が視聴者とコミュニケーションを取ることのできる動画配信サービスです。ライブ配信でのプロセスは、人気アイドルや俳優を目指す人たちが、目標を達成するまで努力をするところにあります。
多くのファンは人気を目指す演者を見たり、応援したりするためにお金を費やすので、ライブ配信のコンテンツは大きな利益につながります。
プロセスエコノミーの将来性
アウトプットエコノミーに代わり、利用が進められてきたプロセスエコノミーの将来性に疑問を持つ方は多いはずです。プロセスを売りにして商品をアピールする企業が増えると、顧客の獲得や維持はむずかしくなります。
そのため、次はどう差別化するべきかを企業は考える必要があります。他社と差別化するためにプロセスを利用していますが、会社の強みは商品を生み出す過程だけではないはずです。
まとめ
プロセスエコノミーは商品や作品を生み出すプロセスを利用し、利益につなげる考え方のことです。新規顧客の獲得や安定した収入が見込めるなどのメリットがあり、発信の仕方次第では多くの人から共感を得ることができます。
すべての企業がプロセスエコノミーを活用できるというわけではなく、ビジネスモデルによっては不向きな業界もあるため注意が必要です。
プロセスエコノミーを活用した事例は多々あり、音楽業界やゲーム業界など多くの環境で利益に大きく貢献しています。参考になる成功事例が数多くあるわけですから、プロセスエコノミーを利用した戦略を考える企業がこれから増え続けていくはずです。
