2019.09.03

”感覚の差”という結論を出すのではなく コンサルと一緒になって営業基盤を強化する

外資系医療機器メーカー 様

心臓循環器をはじめとする様々な疾患領域で革新的な医療機器の開発を通じて医療と患者さんの生活の質の向上に貢献。

1.心臓循環器をはじめ、多岐にわたる疾患領域で革新的な医療機器を開発してきた外資系医療機器メーカー。製品の多角化と多様化によって事業領域を拡大しているが、営業力に課題があった。そこで同社は「一緒に答えを見つけるパートナー」としてコンサルティング会社を活用。

 

2.営業力強化のプロジェクトを通じて、営業メンバーとコンサルタントが同じ目線で取り組むことにより、これまで「感覚の差」で行ってきたことを共有。競争意識が生まれ、営業メンバーのモチベーションが高まった。

 

3.組織力強化のプロジェクトでは、キャリアや世代の違いによって営業メンバーの目的意識もバラバラだったが、事業部としての目標を共有し、足並みが揃うようになった。

お話を伺った方

外資系医療機器メーカー
高橋哲也様

事業内容とコンサルティング導入について

村越 貴社の事業について教えてください。

高橋 弊社は、心臓循環器をはじめ、多岐にわたる疾患領域で革新的な医療機器を開発してきた外資系医療機器メーカーです。製品の多角化と多様化によって、日本法人でも事業領域を拡大し、最近では、脊柱治療や糖尿病ケアの領域でも製品を出しているほか、遠隔モニタリングシステムやMRI対応のペースメーカなど、業界にイノベーションをもたらす新しい製品を開発している点が大きな特徴といえます。

村越 高橋さんは心臓外科領域を中心とした機器を扱う事業部で主に営業力の強化に取り組んでいます。どのような事業部なのですか?

高橋 当事業部はいずれも外科治療の分野で用いる製品などを取り扱っています。新たな分野に進出することによって会社の事業領域を広げ、多様性によってビジネスの可能性を広げていくという狙いがあったのですが、営業力と組織力に課題を感じていました。

営業力の強化について

村越 まず、営業力の強化についてですが、課題解決に向けてどのような取り組みをしてきたのですか?

高橋 従来からの事業に関しては営業メンバーと話しながら、コストカットなど基本的な改善を行っていきました。

村越 営業力強化に取り組む上で重視したのはどんなことですか。

高橋 外科分野の営業に関しては採用が大事です。採用後の教育には時間とお金がかかりますので、スタート時点で優秀の人を集めることが重要になるのです。ただ、必ずしもそのような人財を採用できるとは限りません。期待通りのパフォーマンスを出してくれるとも限らず、そのような場合はどうしても教育を通じて営業力を強化する必要性が出てきます。

村越 営業メンバーが多様化したことにより、教育方法や日々のコミュニケーションなども相手に合わせて変えたのですか。

高橋 世代やキャリアの差は意識したかもしれません。例えば、職歴が長いメンバーは業界のことがよくわかっていますので、彼らが扱う機械の特徴や患者さんに提供できるメリットなどについてよく話したと思います。一方、若い人たちも医療や患者さんのことに関心があるのですが、それと同じくらい、自分のキャリアパスについて考えています。ベテランと比べてキャリア志向があり、ざっくりとですが自分なりのキャリアパスを持っている人が多いのです。そのため、彼らと接するときには、この仕事がどんなふうにキャリアに役立つかを伝えるようにしていました。

村越 営業力強化に向けて外部コンサルタントを使おうと考えた理由を教えてください。

高橋 営業力の強化はどの会社にとっても重要なことです。医療業界に限らず、どの業界でも営業スキルの向上を目指し、過去何十年にもわたって取り組んできました。ただ、営業はセンスによるところも大きいと思っています。OJTなどを通じてトップセールスの営業を見せることはできますが、売れる要因が彼らが持つセンスにあるとすれば、そのセンスを他のメンバーに身につけてもらうのは難しいと考えたのです。

村越 センスは感覚的なもので、教えるのが難しいのですね。

高橋 はい。トップセールスに売れている理由を聞くと、たいてい「特別なことやっていない」「普通にやっているだけ」といいます。つまり、トップセールスとそれ以外の人との間には”普通”という感覚に差があるのです。それならば、その差に注目して学ぶ仕組みを導入すれば、メンバー全員がトップセールスに近づけるのではないかと考えました。トップセールスの真似事ができるようになり、少々乱暴な言い方をしますが、トップセールスを量産化できるだろうと考えたのです。そのための方法としてコンサルタントに依頼することになったのです。

村越 リブ・コンサルティングを含めて何社かコンサルティング会社と面談したと聞いています。選択の際に重視したのはどんな点だったのですか?

高橋 コンサルティング会社の活用は営業力強化が大きなテーマだったわけですが、面談をしていく当初から、即効性のある答えはないと思っていました。すぐに成果を出してほしいという気持ちもなく、自分たちの力で成長していく道筋を見つけたいと思っていたのです。その点から見たときに、他社の場合は「答えはこうです」と示すところが多く、”上滑り感”がありました。それが現場にとって実現性があるのか懐疑的でだったのです。リブ・コンサルティングはその逆で、一緒に答えを見つけていくというアプローチでした。その差がコンサルティング選びの決め手の1つでした。

村越 各社の実績や事業規模などは比較なさったのですか?

高橋 会社情報などに関する調査は部内の担当者に任せましたので、リブ・コンサルティングの実績や規模などについては、プロジェクトを進めていく中で知りました。選択の際には、実績などよりもわれわれの会社に合うかどうかを重視しました。自分で言うのもおかしいのですが、医療機器業界の会社は真面目です。華やかなコンサルティング会社もありますが、われわれとしてはリブ・コンサルティングのように地に足のついた雰囲気のある会社の方が良いと思っていました。

村越 プロジェクト後の部内の変化はいかがですか?

高橋 現時点の変化として、営業メンバーがお互いの取り組みやコンサルタントの取り組みを見ることにより、例えば「あの人がやったことを自分もやってみよう」といったモチベーションが向上したと感じます。馴れ合いになりがちな環境の中で、競争意識を育めるようになったのは良かったと感じます。また、その中でトップセールス化していったメンバーが、このプロジェクトでまとめたものを活用して若手メンバーに教育を実施していました。その若手メンバーは他のメンバーと比べて明らかに成長が早いのです。そのような相乗効果は想定していませんでした。

組織力の強化について

村越 次にご相談頂いたのが、組織力強化でしたね。

高橋 はい。新しくできた部門ではもともと営業メンバーが少なかったのと、短期間で成功させる必要があったため、異業種などから優秀な人を集めました。例えば、部門としてのオポチュニティが広がるように外国語が話せる人を採用しようと考えたときもありましたし、営業メンバー内にも多様性が重要だと思い、採用する世代を幅広く取り、女性も積極的に採用しました。
ただ、多様な人を採用できた反面、医療業界の当たり前が理解されず、阿吽の呼吸が通じにくくなりました。営業メンバーのバックグラウンドや世代が違うわけで、よく考えれば当たり前のことなのですが、当時は個人商店の集まりのようで横のつながりがなく、メンバーに同じ方向を向いてもらう必要性を感じました。

村越 組織力強化のプロジェクトはまだ推進していくことが多いですが、現時点での成果はいかがでしたか?

高橋 当初は個々が別々の方向を向いて仕事をしているような状態でしたが、事業部全体として目指すゴールを共有できたと思います。心臓外科領域の医療機器のプロを目指す意識が高まり、ひとまず足並みは揃ったかなと思っています。

リブ・コンサルティングのコンサルティングについて

村越 ふたつのプロジェクトを一緒に行ってきた感想はいかがでしょうか?

高橋 期待した通り「一緒に答えを見つける」という熱意がありました。メンバーとのミーティングが終わった後、いつもすぐ私にフィードバックをしてくれていました。「もっとこうしたほうが良いのではないか」「こんな話をしてほしい」など、このプロジェクトを通じて良くしていくために「何とかしよう」という気持ちが伝わってきました。
依頼者とコンサルタントという立場の違いはあるのですが、うちの社員かと思うぐらい、垣根なく1つのチームのように関わってくれましたね。

今後の展望について

村越 今後の展望について教えてください。

高橋 プロジェクトを通じて営業メンバーのモチベーションが高まりましたので、熱感があるうちに次の施策を打ちたいと思っています。プロジェクトが終わって元通りでは困りますので、早く次に進みたいという気持ちもあります。また、リブ・コンサルティングには「一緒に」という姿勢で支援してもらっていますが、最終的にはわれわれが自分たちの力で仕事を動かしていく必要があります。提案や指摘を受けながらパフォーマンスを高めていくのは良いのですが、いつまでもそのままでは独り立ちできません。頼りっきりにならないように、自分たちで営業力を伸ばしていける体制を確立していきたいと思っています。

(左から高橋様、担当コンサルタント村越)

関連事例