2023.02.02

インサイドセールスの課題

インサイドセールスとは非対面で営業活動をおこなう比較的新しい営業手法ですが、近年ではオンライン営業が急速に推進されたため多くの企業が注目しています。日本でも外資系企業を中心に広がりをみせていますが、海外では以前からおこなわれている営業手法です。

インサイドセールスにはさまざまな課題がありますが、企業にとって大きなメリットを生むものでもあります。インサイドセールスを有効活用するには、課題を理解したうえで解決策や成功させるためのポイントを把握することが大切です。

インサイドセールスとは

インサイドセールスとは電話やメール、Webツールなどを利用して企業の商品やサービスを販売する営業手法です。従来のように対面型の営業活動ではなく、非対面でおこなう点がインサイドセールスの特徴です。近年の営業活動では、マーケティングやインサイドセールスのように業務を分担しておこない、効率よく進行させていくスタイルが多くの企業で取り組まれています。

インサイドセールスの重要性

インサイドセールスは、主にマーケティング活動で獲得した見込み顧客をフォローアップし、案件化した状態でフィールドセールスにつなげるという役割を担っています。従来の営業手法では、アポ獲得から受注、商談までをひとりの営業マンが一括で担当しているケースが多い傾向にあります。

しかし、本来ならもっとも注力したい商談以外の業務に時間や労力をかけなくてはならない状況にありました。そこで、インサイドセールスのような役割を担う体制を整えることで、各業務の負担を軽減させ、商談やクロージングなどを効率化することができます。

インサイドセールスにおける主な課題

インサイドセールスの知識やノウハウ不足で取り組みを円滑に進められない企業は多くあり、主な課題となっている項目は次のとおりです。

  1. システム導入にコストや手間がかかる
  2. 他部門との連携不足に陥る
  3. 効果がわかりづらい
  4. 社内にマネジメントできる人材がいない
  5. 社員のモチベーション維持がむずかしい

システム導入にコストや手間がかかる

インサイドセールスにおける顧客とのコミュニケーション情報を他部門と共有するために顧客管理システムの導入は必要不可欠です。購入の決断まで至らない顧客を商談まで取り付けるために、さまざまなやり取りがおこなわれます。

しかし、やり取りの内容を他部門で把握できていなければ、顧客との対応がスムーズに進まず、途中で離脱されてしまう可能性があります。そのため、社内での情報共有は必須であり、システムを導入することによって手間や時間をかけずに実現可能です。

他部門との連携不足に陥る

営業活動における業務を分担する際に、部門間の連携不足によるトラブルの発生は早急に解決すべき課題です。特に懸念されるのは業務の重複や顧客の取りこぼしです。同じ顧客や企業にそれぞれの部門から重複アプローチをしていたり、お互いに他部門でやってくれているだろうという認識のズレから顧客が放ったらかし状態になっていたりなどと、連携不足により顧客が不快に感じてしまう事態は避けなければなりません。

効果がわかりづらい

社内にインサイドセールスにおける知識やノウハウが蓄積されていない場合、業務範囲も曖昧な可能性があるため、効果がわかりづらいという点も課題もあります。試行運用の間は施策が変わってしまう可能性があり、最適な運用ができるまでにはどうしても時間がかかります。

社内にマネジメントできる人材がいない

インサイドセールスの体制を構築するには営業全体の業務設計をする必要があり、知識や経験、ノウハウを持ち合わせた人材が必要です。しかし、知識や経験が豊富な人材が社内に在籍しない企業は多く、構築を断念したり先延ばしにしたりするケースも多くあります。

社員のモチベーション維持がむずかしい

インサイドセールスでは、業務をおこなう社員のモチベーションを維持する工夫が必要です。インサイドセールスへの取り組みは、毎日単調になりがちな業務の繰り返しと接客によるストレスから、モチベーションの維持がむずかしい傾向にあります。

顧客との良好な信頼関係を築くためとはいえ、理不尽な対応をする顧客も存在するためストレスが蓄積され、ピークに達してしまうと離職を考える従業員も少なくありません。企業の営業担当者を減らさないためにも、社員のモチベーション維持が企業に求められます。

インサイドセールスの課題を解決する方法

インサイドセールスを成功させるための解決策や成功のポイントは次のとおりです。

  1. インサイドセールスの役割を明確にする
  2. シナリオを作成する
  3. 外部に委託する

インサイドセールスの役割を明確にする

まずは自社の営業プロセスを整理し、インサイドセールスの役割となる業務範囲を明確にすることが大切です。曖昧なまま取り組みをスタートしてしまうと、混乱を招き顧客を巻き込んだトラブルの原因となるため注意が必要です。

各部門での目的や役割を明確にしたうえでKPIの設定を施し、部門ごとの成果を正しく測定していきます。また、システムを導入して情報共有の仕組みを整え、部門間の情報格差をなくすことで営業部全体の業務をスムーズに進行させることが重要です。

シナリオを作成する

顧客とコミュニケーションを取る際に、どのタイミングでどのような提案をするかなど、話の流れをまとめたシナリオの作成をします。インサイドセールスでは、電話やメールでさまざまな顧客層とのやり取りが生じるため、柔軟な対応力が必要です。ある程度の流れを想定し、複数のシナリオパターンを用意することで、スムーズな対応が可能となります。

また、メールの場合はテンプレートの活用なども有効です。シナリオやテンプレートの活用により、どのような流れでの対応が成果を出しやすいのか検証することも忘れてはいけません。シナリオを用意しておくことで担当者の精神的な負担も軽減され、従業員のモチベーション維持にも役立ちます。

外部に委託する

社内でインサイドセールス体制の構築が困難である場合は、外部に委託するという選択もあります。インサイドセールスは比較的新しい手法であるため、知識や経験のある人材が存在しない企業が多く、自社だけで運用するにはハードルが高いといえます。そこで、営業代行サービスなどを利用して自社の営業活動を効率化するのも、取り組みを円滑に進めるうえで有効な手段です。

インサイドセールス構築に必要なシステム

インサイドセールス構築の際に必要となる代表的なシステムとして、次の3つが挙げられます。

  1. CRM(Customer Relationship Management)
  2. SFA(Sales Force Automation)
  3. MA(Marketing Automation)

CRMは顧客と企業との関係を記録し、管理するシステムです。顧客情報を一元化して共有することが可能となるため、顧客に対してチームで対応する際に役立ちます。

SFAとは営業活動における業務全般をデータ化し、蓄積するシステムです。データを蓄積することで、最適な営業スタイルの考案につながるため、SFAもチームでの営業活動をスムーズに進行させるシステムといえます。

MAとは新規顧客の開拓の仕組みづくりを支援するシステムです。MA活用によってさまざまな施策やデータ分析が自動的におこなわれ、適切なタイミングでの顧客へアプローチが可能です。インサイドセールスと相性が良く、組み合わせることで大きな効果をもたらします。

インサイドセールスが他部門とうまく連携するためには、CRMやSFAによる情報の可視化、蓄積、共有が非常に重要です。

まとめ

インサイドセールスは営業活動における業務を分担し、効率よく業務を遂行するための有効な営業手法です。インサイドセールスにおける主な課題は、他部門との連携不足やマネジメント不在、システムの導入などが挙げられるため解決する必要があります。

解決策としては、インサイドセールスによる業務範囲の明確化やシナリオ作成、社内での運用が困難である場合は外部に委託するといった具体例があります。システムを導入するにはコスト面での問題がありますが、営業部全体の効率化を実現するにはシステムの導入が重要です。

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