2023.09.08

GTM(ゴー・トゥ・マーケット・フィット)とは

GTM(Go to Market、ゴートゥーマーケット)とは自社の製品を顧客に届けるまでの流れをまとめた戦略のことです。PMF(Problem Solution Fit、プロブレムソリューションフィット)で検証したどのような価値を誰に提供するのかに加えて、提供する方法にフォーカスします。

製品の特徴やメリットを強調するマーケティング戦略、販売チャネルの選定、価格設定、競合分析などがGTMの一環です。GTMは製品を市場で成功させるための道筋であり、効果的に顧客の関心を引きつけるプロモーションを計画する上で不可欠な要素です。

GTMとは

GTM(Go to Market、ゴートゥーマーケット)とは、自社の商品を顧客に提供する際にどのようにおこなうのかといった点に焦点をあてた戦略です。PMF(Problem Solution Fit、プロブレムソリューションフィット)では、商品を提供する相手やどのような価値を提供するのかといった点に焦点を当てますが、GTMでは商品を提供する方法を検証します。

GTMの目的

GTMには、市場を明確にするほか該当の商品やサービスをどのように顧客へ届けるかなどさまざまな目的があります。市場を特定し、ターゲット顧客を定義することで、効果的なプロモーション戦略を展開します。どの市場セグメントに焦点を当てるかを明確にすることで、限られたリソースを最適化して活用することができます。

また、GTMでは顧客への価値提供方法も重要です。製品やサービスの特長やメリットを顧客に伝えるコミュニケーション戦略を策定し、顧客のニーズに対応する解決策を提供することを目指します。顧客の心に響くメッセージングや広告を通じて、購買意欲を喚起し、商品の魅力を高めます。配送方法や販売チャネルの選択、価格設定などもGTM戦略の一環です。

GTMの重要性

GTMはフィットジャーニーの5番目に位置しており、PMFを達成した製品やサービスを市場に展開するための戦略を立案する過程です。PMFを確立するだけではなく、その価値を適切な顧客に伝え、成功を収めるためにGTM戦略は不可欠です。

GTM戦略は、顧客を正確に特定し、彼らのニーズと課題に対する解決策を的確に伝えるためのプランを描くことから始まります。市場のセグメンテーション、ターゲットオーディエンスの特定、競合分析、プロモーション戦略、価格設定など、製品を市場に展開するための戦略的な方針が含まれます。

GTMの次に考えるべきこと

GTMでユニットエコノミクスや成長率の向上を実現できたら、Growthとよばれるフェーズで拡大再生産する方法を見つけることが必要です。計画どおりに事業が成長しているかどうかを検証します。このフェーズでは、成功したGTM戦略を基盤に、より大規模な市場への進出や、顧客獲得のスケールアップを追求します。

GTMに使う指標

GTMを策定するうえで、多くのデータを活用することで指標を設定することが重要です。GTMに活用できる指標には次のようなものが挙げられます。

  1. NRR
  2. GRR
  3. CARR

NRR

NRR(Net Revenue Retention、売上継続率)は、企業が既存顧客から維持する売上を示す指標です。これにはアップセルやクロスセルによる追加売上が含まれます。高いNRRは顧客満足度とリピートビジネスの健全性を示し、成長の持続性を示唆します。

GRR

GRR(Gross Revenue Retention、総収入継続率)は、企業が既存の収入をどれだけ保持できているかを示す指標です。新たな売上を除いた既存顧客からの継続収入を計測し、アップセルやクロスセル、追加購入などが含まれます。

CARR

CARR(Contracted Annual Recurring Revenue、年間経常収益の総計)は、企業が契約した顧客から得る年間の繰り返し収益を示す指標です。定期的な契約料やサブスクリプション収入が含まれ、顧客が長期間にわたって支払う収益を計測します。

GTMを進めるプロセス

GTMを進めるうえで次のようなプロセスで進めることが一般的です。

  1. 対象となるターゲットを設定
  2. バイヤージャーニーを理解
  3. 戦略の選択

対象となるターゲットを設定

商品やサービスをどの市場で売り出すかを決めることで、顧客のターゲットを設定することが重要です。市場セグメンテーションによって、顧客のニーズや要望を特定し、より効果的なマーケティング戦略を構築することが可能です。

選択した市場に合わせて、適切なアプローチやコミュニケーション方法を選ぶことがGTM戦略の成功につながります。ターゲット市場の特性や傾向を理解し、顧客の行動や好みに合わせてプロモーションを展開することで、顧客の関心を引き付け、購買意欲を高めることができます。

バイヤージャーニーを理解

バイヤージャーニーとは、新しい商品を認知した顧客が購買の検討から購入に至るまでのプロセスのことです。顧客目線では、自身の課題を解決するためにリサーチをはじめてから商品を購入するまでをさします。また企業側では認識、検討、決定のステージに別れることが一般的です。GTMを進めるうえでバイヤージャーニーを考慮することは、マーケティング、広告、販売戦略の効果を最大化するために不可欠です。

各ステージに合わせたターゲティングやコミュニケーション戦略を展開することで、顧客を引き込み、購買へと導くプロセスを支援します。バイヤージャーニーを理解し、顧客のニーズに寄り添ったアプローチを取ることで、成功するGTM戦略を構築することが可能です。

戦略の選択

GTMには次のようにさまざまな戦略があります。

  1. フィールドセールスモデル
  2. インサイドセールスモデル
  3. セルフサービスモデル

フィールドセールスモデルは営業担当者が顧客を訪問し、関係を築くことでニーズを把握し、カスタマイズされた提案をおこなうことが特徴です。インサイドセールスモデルは、顧客からの問い合わせに迅速に応答し、製品の特長やメリットを説明します。セルフサービスモデルとは顧客が主導で購入まで決めることであり、ウェブサイトやアプリを通じて情報を得て、商品を選択することが特徴です。

商品や取引の規模等に応じて適切な戦略を選ぶことが重要です。

GTMの指標

GTMには次のような指標が挙げられます。

  1. 成長率
  2. ユニットエコノミクス

成長率

成長率とは、売り上げや顧客獲得数などさまざまな数値が伸びた割合のことです。成長率は企業の健全な成長を示す重要な指標であり、競争力の維持や市場シェアの拡大を目指す際に不可欠です。GTM戦略でも成長率は重要な役割を果たします。

GTM戦略を進めるうえで成長率が必要な理由は、市場の変化や競合状況に対応するためです。成長率を維持することで、ビジネスは動的な環境に適応し、収益性を保ちつつ市場での存在感を維持することができます。

ユニットエコノミクス

ユニットエコノミクスとは、1人の顧客あたりの採算性のことです。LTV(Life Time Value、顧客生涯価値)÷CAC(Customer Acquisition Cost、顧客獲得単価)で計算します。LTVは、顧客が会社と取引をする間にもたらす見込まれる総収益を指し、CACは新たな顧客を獲得するためのコストを表します。

ユニットエコノミクスの改善は、収益性やビジネスの成長に直結し、効果的なマーケティング戦略や顧客獲得策の構築に重要な役割を果たすことが特徴です。GTM戦略の成功は成長率だけでなく、その背後にあるユニットエコノミクスの健全さにも依存します。成長が加速する一方で、ユニットエコノミクスが悪化すれば、ビジネスの収益性に影響を及ぼす可能性があります。

まとめ

GTMとは、自社の製品を顧客に届けるまでの方法や流れをまとめた戦略です。PMFで検証した、誰にどのような価値を届けるのかといった検証に続いて、届け方を検証します。

GTM戦略は、市場投入前にしっかりと計画を立て、競争力を高め、顧客との関係を築くための指針となります。PMFで確立した価値提案を効果的に届けるために、戦略的なアプローチが求められます。

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