2022.11.21

プロセスエコノミーの事例

従来のビジネスモデルは、ユーザーが求める商品を販売したり、新しいサービスを提供したりするのが一般的なモデルでした。しかし、多くの企業が同じような商品やサービスを展開していることから、商品やサービスだけでは差別化をするのが困難になっています。そこで、プロセスエコノミーといわれる商品やサービスが生まれるまでのプロセスを含めたプロセスをビジネスに加える概念が生まれています。

プロセスを紹介することで、誕生までのストーリーが出来上がりファンを掴めるチャンスがあります。そのため、商品やサービスが似ていてもストーリーを加えることで差別化が可能です。

プロセスエコノミーとは

プロセスエコノミーとは、アイデアを生み出すプロセスを収益につなげることです。ただ商品やサービスを作りだして売るのではなく、制作のプロセス自体をビジネスにします。制作画面を動画にして有料で配信することをはじめ、プロセスエコノミーの需要が高まっています。

アウトプットエコノミーとの違い

プロセスエコノミーの対義語にアウトプットエコノミーがあります。アウトプットエコノミーとは、配信した、商品を作ったなどの事実を販売しユーザーは結果を購入するために課金をします。例えば、レストランで食事をする場合は作る過程ではなく出来上がった料理が売り上げにつながります。つまり、アウトプットエコノミーとは従来の商売が当てはまります。

対して、プロセスエコノミーは結果に至るプロセスをビジネスにすることです。商品を作ったり、サービスが生まれたりするまでのプロセスを動画で配信することをはじめとして、さまざまなプロセスエコノミーがあります。

プロセスエコノミーが生まれた背景

プロセスエコノミーが生まれた背景として、アウトプットエコノミーが平準化したことが挙げられます。アウトプットだけでは他社との差別化がむずかしくなったことから、プロセスにおいて差別化することが重要視されるようになりました。

企業がプロセスエコノミーを活用するメリット

企業にとってプロセスエコノミーを活用すると次のようなメリットがあります。

  1. 他社との差別化
  2. プロセスを重要視するユーザーは多い

他社との差別化

他社との差別化をするうえで、商品の質やサービスのクオリティだけでは限界があります。そこで、商品やサービスを商品化する前の工程をユーザーに見せることによって、企業の取り組みを理解しやすくなりファンがつく可能性があります。

プロセスを重要視するユーザーは多い

ユーザーにとっても商品やサービスだけでは比較できないこともあり、プロセスから見ている場合もあります。特に、近年ではYouTubeをはじめとして、さまざまな媒体においてプロセスを紹介できます。そのため、ユーザーが1つの商品を気に入ると企業がどのような取り組みをしているのかを確認していることは少なくありません。

プロセスエコノミーの事例

プロセスエコノミーとは次のような事例が挙げられます。

  1. クラウドファンディング
  2. ライブ配信
  3. オンラインサロン
  4. オーディション番組
  5. プラモデル制作
  6. OEM

クラウドファンディング

イベント開催や被害にあった建物などの修復、商品開発など特定の目標を達成することを目的とした資金調達の手法です。不特定多数の人に呼びかけをおこない、共感した人が出資することで目標を達成する仕組みです。SNSが発達したことにより、情報を拡散しやすくなり、活発に活用されるようになっています。

近年では、さまざまなクラウドファンディングサイトがあり、それぞれユーザー数、得意なジャンル、手数料などが異なるのが特徴です。さらに、クラウドファンディングには、購入型や寄付型、金融型などの種類があります。購入型とは支援者が金銭で支援して見返りに商品やサービスなどを提供します。寄付型は支援しますが見返りはありません。金融型とは、金銭や株式で見返りを得る方法です。

クラウドファンディングの主なプラットフォームとしては、CAMPFIREMakuakekibidangoなどが挙げられます。

ライブ配信

YouTubeや17Liveなどライブ配信をするサービスが増えています。画像やテキストと比較しても多くの情報量を視聴者に提供でき、ユーザーがより身近に感じることができるのも特徴です。全世界にユーザーが多いYouTubeをはじめ、若い世代を中心に人気の17Liveは、スマホを利用したライブ配信サービスです。手軽に動画を流せるほか、視聴者からの投げ銭とよばれる支援を受け取ることができます。

オンラインサロン

オンラインサロンとは、月額制の有料コミュニティサービスであり、主催者と会員で交流をする仕組みです。クローズドコミュニティであることが大きな特徴であり、共通の特徴を持つ会員同士が情報交換できる場でもあります。さらに、会員限定の情報提供があるなど、それぞれ特徴があります。

オンラインサロンは大手企業が運営しているプラットフォームが多く、DMMオンラインサロンCAMPFIREコミュニティmusic.jpオンラインサロンなどが人気です。

オーディション番組

オーディション番組とは新しいアイドルグループがデビューするとき、メディアでメンバーを公開しつつ決定していく番組です。視聴者にとって、アイドルをデビューから応援でき、応援したアイドルをデビューしたあとも継続して応援することが多いのが特徴です。

オーディション番組は世界各国で開催されており、日本でも大人気である日韓アイドルNiZiUはオーディション番組で選ばれました。

プラモデル制作

プラモデル制作とは、制作する過程を楽しむことが目的です。自分で苦戦しながら作成した作品は、完成品を購入するよりも愛着が沸きやすくなります。つまり、プラモデルのようにあえて未完成の商品を販売することによりユーザーには制作する楽しみが生まれます。自分好みに制作できることにより、エンゲージメントを獲得できるのです。

OEM

OEM(Original Equipment Manufacturing)とは、商品の制作のみをおこなうことをいいます。つまり、こんなアイテムが欲しいといった考えを持つ人に対してオリジナルアイテムの制作をおこないます。商品開発に自分も携わっている商品やサービスを購入したいと考えるのが一般的です。つまり、欲しいと考えるアイテムを一緒に作ることでプロセスを共有することになります。

まとめ

プロセスエコノミーとは、商品やサービスなどを作る工程をユーザーに見てもらうことによってビジネスにつなげることです。企業におけるストーリーまでユーザーに理解してもらうことによって、ファンを増やし競合他社との差別化につなげられます。さらに、近年ではクラウドファンディングやオンラインサロン、ライブ配信ツールの活用などさまざまなプロセスエコノミーの事例が挙げられます。

プロセスエコノミーを進めることによって、アウトプットエコノミーだけでは差別化できなかったことでも競合他社に対して市場で有利になる可能性があるのです。

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